6人死亡の工場火災から1年 続く悲しみと会社への不信感「あまりオープンじゃない」【新潟】

新潟県村上市の三幸製菓・荒川工場で6人が死亡した火災から2月11日で1年が経ちました。火災の原因が徐々に明らかになる中、遺族から聞こえてきたのは、悲しみの声と会社への不信感です。

頭を下げ、手を合わせるのは、三幸製菓の佐藤元保CEO。2月11日、火災から1年が経ち、荒川工場では犠牲者を悼む供養式が執り行われました。

【三幸製菓 佐藤元保CEO】
「大変な事故であり、未然に防げなかったことを非常に申し訳なく思っています。まずは、お亡くなりになられた6名の従業員の皆さんのご冥福をお祈り申し上げる」

去年2月11日、村上市にある三幸製菓の荒川工場で発生した火災では、アルバイト従業員など6人が死亡。県警は業務上過失致死傷の疑いで捜査を続けています。

【齋藤正昂アナウンサー】
「火災の発生から1年が経った三幸製菓・荒川工場です。もともと、こちらに火が出た建物がありましたが、解体作業が終わり、今は何も残っていません。その脇にあるテントには、献花台が設けられています」

なぜ、ここで6人の命が奪われたのか…

去年12月、総務省消防庁は火災原因の中間報告を発表。油分を含んだ“せんべいカス”が焼き窯などから熱を受けて高温になり、発火した可能性が高いと指摘しました。

時が経つに連れ明らかになる火災の全容。しかし、時が経っても遺族の悲しみが消えることはありません。

【伊藤美代子さんの長男】
「こんなことがなければ、もっと楽しく過ごせたのかなとか、もっと楽しいこととか色々なことをしてあげられたのかなと」

こう話すのは、火災で亡くなったアルバイト従業員・伊藤美代子さんの遺族。出火原因について、当初の三幸製菓の説明との食い違いに疑問を持ったといいます。

【伊藤美代子さんの長男】
「(三幸製菓から)『お菓子のカスでの出火はあり得ない』と聞いていたので、蓋を開けたら、掃除・メンテナンス不足で炭化しているというのが出たのは、ちょっと腑に落ちないというか、おかしな話だなと」

同じく火災で母親を亡くしたアルバイト従業員・近ハチヱさんの遺族も喪失感に包まれています。

【近ハチヱさんの長男】
「ずっと寂しいというか突然のことだったので、まだ受け入れられないのが現実。あまりに母の存在が大きすぎて」

荒川工場は、夜間勤務の従業員を対象に避難訓練を実施するなど対策を講じたうえで、火災から約7カ月後に生産を再開しましたが、その対策が今も継続されているのか不審感を抱きます。

【近ハチヱさんの長男】
「動いてからというのが大事だと思うが、その辺が見えてこない。今まで通り、あまりオープンな会社じゃない」

工場の再開後も、何がどのように変わり、対策が継続されているのか、遺族ですら分からないという現状。

【伊藤美代子さんの長男】
「『ダメだったところをちゃんと改善して、良い会社になります』というのを、もうちょっと私らに見せてほしいなというところはある」

【近ハチヱさんの長男】
「せっかくとった対策が風化しないように、どんな形でもいいので継続して、二度と同じことを繰り返さないようにしてもらいたい」

火災から1年。三幸製菓の事故への向き合い方が問われ続けています。

【三幸製菓 佐藤元保CEO】
「大変な重大な事故であり、非常に重く受け止めている。まずは、ご遺族様への謝罪と再発防止を全うすることが私の職務だと考えている」