南房での多様な働き方PR ワーケーション施設次々 熊谷知事も「棚田オフィス」体験

観光地や自然豊かな場所で余暇を楽しみながら、仕事に取り組む「ワーケーション」を促進しようと、県は情報発信に力を入れている。5日には、熊谷俊人知事が鴨川市内のワーケーション対応施設を訪れ、稲刈り後にオンライン会議を実践。既成概念にとらわれない働き方をアピールした。
千葉県は都心からのアクセスの良さに加え、海や山など豊かな自然に囲まれ、さまざまなタイプのワーケーションに対応可能だとして、フリーランスや都内勤めの会社員から人気という。
特に館山市や鴨川市など安房地域では近年、対応する施設が続々と誕生。県も、各市町村や観光協会などの団体が主体となった受け入れ環境の整備事業に補助金を交付するなどして、積極的に後押ししている。
熊谷知事は、鴨川市内の棚田で稲刈りを体験した後、美しい棚田を見下ろして仕事に打ち込める「棚田オフィス」で原稿を執筆。無印良品を展開する「良品計画」(東京)が8月に開設した人気の中長期滞在型施設「MUJI BASE KAMOGAWA」も訪れ、伝統的な木造建築の空間で、千葉市の県庁にいる職員とオンラインで会議した。
会議を終え、熊谷知事は「こういう場所で複数の人でワーケーションをすれば、違ったアイデアが生まれ、社員同士の結束も豊かになると思う。『2地域居住』や定住に発展していけば、最終的に地域を支えていく新たな担い手が底上げされる」と期待を込めた。
ワーケーションは個人のニーズが高まる一方、企業の制度導入が進んでいないといった課題もある。熊谷知事は「オフィスの中で仕事をする考えが染みこみ、こういう場で仕事をする発想がなかなか浮かびづらい部分もある。ワーケーションができる場所をツアー的な形で紹介するなど、いろいろな角度から情報発信していければ」と話した。