〈頂き女子りりちゃん再逮捕〉被害総額は2億 疑似恋愛で男をたぶらかす杜撰すぎる恋愛マニュアルを販売…友人には「まぁ逮捕されるのも人生だしね~」と言いつつホストクラブで豪遊

マッチングアプリで知り合った男性(50)に恋愛感情を抱かせて、同情心をくすぐるようなウソをつくことで合計約2700万円をだまし取ったとして、愛知県警中署は20日、自らを「頂き女子りりちゃん」と名乗る、渡辺真衣容疑者(25)を詐欺容疑で再逮捕した。
再逮捕容疑は今年5月、マッチングアプリで知り合った茨城県土浦市の団体職員の男性(50)に、「アパレル会社を起業するために知人から借金した。返さなければ風俗店で働かなければいけない。同棲もできない」などと同情心をくすぐるようなウソをつき、合計約2700万円を自身の銀行口座に振り込ませたとしている。「渡辺容疑者の口座には数十人から合計約1億6千万円が振り込まれており、調べに対し『手渡しでも数千万円もらった」と供述していることから、被害総額は2億円にものぼるとみられ、県警は捜査を進めている」(社会部記者)渡辺容疑者については、昨年6月ごろ、20歳の女子大生が男性から現金をだまし取る意図があったことを知りながら、2万8千円で頂き女子のマニュアルを有料noteで販売したとみられている。さらに今年2月には、LINEなどの通話アプリを通してこの女子大生に助言もし、金をだまし取る詐欺行為を手助けしたとして、愛知県警中署は先月23日、詐欺ほう助の疑いで逮捕している。
頂き女子りりちゃんこと渡辺容疑者(本人SNSより)
これまで渡辺容疑者は新宿・歌舞伎町を中心に、男性に金を貢がせる「頂き女子」と名乗って活動し、界隈ではカリスマ的存在だったという。「X(旧Twitter)のフォロワー数は1.3万人。これまでにもX内で『おぢ(ターゲットの男性)から100万引けた~』などの文面とともに、ホストクラブ内での高級ブランデーや札束といった豪遊写真を掲載し炎上している。また、過去に配信者『コレコレ』の動画に出演した際には、これまで『おぢ』からもらった金額は3億円にものぼっていると語っていた」(男性誌記者)そんな渡辺容疑者が、『りりちゃんの魔法完全攻略マニュアル』と称した「恋愛指南書」マニュアルを配信サービスで売りはじめたのは、2020年のこと。当時から「りりちゃん」を追ってきた、歌舞伎町ウォッチャーの仙頭正教氏がマニュアルの中身について解説する。
「頂き女子」マニュアルを販売していた渡辺容疑者(本人YouTubeより)
「マニュアル自体は45ページにもわたりますが、『おぢ』に貢いでもらうことを『魔法をかける』と表記していたり、『もともと低スぺ(低スペック)だった私でも、ガチ恋客から300万円もらえました!』などの体験談も交えることで、若い女性にも伝わりやすく、『私でも簡単に稼げるかも!』と希望を持たせる内容になっています。マニュアルで重要視されているのは、おもに『リリコミット(信頼関係構築)』『お金を頂くための魔法(会話)』『アフケア(アフターケア)』の3つ。大まかな流れとしては、孤独なおぢの心につけ入り、疑似恋愛でたぶらかし、相手の同情心を買うような事情を切り出して、向こうから『お金を貸してあげようか?』と提案されるのを待つといった感じです」
マニュアルに記載された「絶対に失敗しないガチ恋育成法」なる例文では、カテゴリーごとに以下の文面が記されていた。<自分の過去の話をしよう!>(作り話でもOK)「学生時代はテニス部やってたんだ! 夏のときの練習は本当つらかったなあ」→「○○くんは部活なにやってた?」「高校生のころ修学旅行沖縄だったんだよねーめちゃくちゃ暑かったけど海すごいきれいだったよ」→「○○くんは修学旅行どこだった? 沖縄行ったことある?」「小さい時に行った赤レンガのイルミネーション忘れられない! また冬になったら行きたいなあ」→「○○くんはイルミネーションすき?」<自分の夢の話をする!>(これも作り話でOK)「専門学校は美容の学校行ってたんだけど美容師の資格とるまえに金銭的な問題で辞めちゃったんだ。でもまたもし通えるようになったら美容師になりたいって思ってるんだ」「将来はおっきい家に住んでトイプードル飼って住みたいんだあ」「子供が大好きだから、もしお金が貯まったら学校にかよって保育士になりたいって思ってる。大変だと思うけど応援してくれる?」
渡辺容疑者(本人SNSより)
<彼女になろう!>1.彼氏がいない(できたことない)アピール「ずっと一人で生きてきたからこうやって○○くんと話せて嬉しいな」2.今不幸アピール「○○くんみたいな人と出会えてたら今と人生全然違うんだろうな」3.周りは彼氏いるアピール「学生のころの友達はみんな彼氏がいて色んなところでかけてて羨ましい」4.彼氏ほしいなあアピール「私もそんな支えてくれる人がいたら幸せなんだろうな」5.「僕が彼氏になりたい」と言わせるために「出会いもないし、私のこといいって言ってくれる人いるのかな?」※※※「このような色恋トークで、相手を『ガチ恋(ガチで恋してる状態)』にしたところで仕掛けるのが、いわゆる『病み営(病み営業)』です。『はぁ…』『つらい…』『どうしよう』など、明らかになにかあっただろ、というセリフを吐き、おぢが心配してきたタイミングで『言っても嫌いにならない?』と前置きを挟みつつ、相手の同情心をくすぐるような事情を切り出します」(前述・仙頭氏)マニュアルの例文のなかには、「実は仕事場で先輩に嫌われていて少しいじめにあってる。でもお店の上の人からお金の借りがあって辞められない」などと記されているが、いっぽうで「借金いくらなの?」と聞かれた際も、「金目当て」だと悟られないためにも「言いたくないよ…」と一度断ることが重要だという。逆に相手が渋った場合には、「もうやっぱり死ぬしかないのかな…」などと病み散らかすような指導もあり、「頂き女子」たちが遭遇する、さまざまな状況に対応しているようだ。
では、そんな”頂き女子のカリスマ”は、周りの目にはどう映っていたのか。過去に何度か渡辺容疑者と遊んだことがあるというA子さんが、集英社オンラインの取材にこう答えた。「りりちゃんのウワサは何年も前から聞いていて、一人のおぢから一発(一回)で500万円も引けるなんてすごいな~と尊敬していました。そこで本人のTwitterにDMで『会いたいです~』と送って遊ぶことになったんですけど、『しっかりとした頭の良い子だな』という印象しかありませんでした。その日はとくに『頂き女子』についての話には触れませんでしたが、自身がやっていることに罪の意識があるのか『まぁ逮捕されるのも人生だしね~』と話していたのを覚えています。
ピース姿の渡辺容疑者(本人SNSより)
当時から羽振りはよくて、一緒にデパートに買い物に行ったときには『毎日ホスト行くから同じ服はイヤなんだよね~』と言いつつ、高そうなワンピースを衝動買いしていました。知り合いのホストも、『りりちゃんはリュックから当たり前のように100万円の札束を出していた』と話していたので、かなり儲かっていたんだと思います」しかし、A子さんは渡辺容疑者を尊敬するいっぽうで、彼女がつくったマニュアルに関しては疑問を抱いていたという。「あのマニュアルには、『相手(おぢ)からお金を借りる』ことを推奨する文が書かれていました。私もパパ活をしていますが、おぢと借用書を交わし、お金を借りるのはリスキーすぎます。りりちゃんは『住所だけウソ書いとけばオッケー』と言ってましたが、契約してしまっている以上、お金を返せと言われたら逃げられないし、飛んでも足がついてしまう。私の友人の『りりちゃん信者』はマニュアルどおりにやって一人のおぢから40万円引けたそうですが、そのときに借用書を交わしたことをきっかけに、後日警察から電話があったそうで…。事件には発展しなかったようですが、やっぱり『りりちゃんのマニュアルは危険すぎる』と界隈でいわれていました」前出の、当時から「りりちゃん」を追ってきた歌舞伎町ウォッチャーの仙頭正教氏は、今回の再逮捕についてこう話す。「まさに自業自得としか言いようがありませんが、今回の『りりちゃん』の一件により、これまでだまされていた”おぢ”たちが詐欺に気づき、『頂き女子』の存在がどんどん明るみに出るでしょうが、これはあくまでも氷山の一角に過ぎません。この手の『パパ活マニュアル』のみならず、『オフパコ必勝法』『美女とヤレる方法』といったナンパ絡みのほか、自己啓発の分野においても情報商材が多く出回ってます」実際に、自身も歌舞伎町観察を続けていくなかでも、ここ数年はそういった「情報商材ビジネス」を売りにしたインフルエンサーをよく目にするという。「その手の『情弱向けのインフルエンサー』に共通するのが、SNSで見せる『派手な生活』です。実際に『りりちゃん』も夜遊び好きの子がいかにも反応しそうなツイートをしていました。同様に、美女とのツーショットや札束、貴金属の写真など、自らの派手な生活ぶりをアピールすることで、信者を増やし、杜撰なマニュアル(情報商材)を売る連中が後を絶ちません。この先、『りりちゃん』に下される刑が重ければ重いほど、自らのやっていることを立ち止まって考えるきっかけになればいいと思っています」はたして、うまく歯止めになってくれるだろうか。
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