インフルエンザの感染が急拡大している。千葉県内は1医療機関当たりの感染者が約1・7倍となり、県は現行の感染症調査が始まった1999年以降で初めて9月に注意報を発令。感染者の半数近くが10歳未満で、特に体力のない乳幼児は高齢者とともに注意が必要とされる。多くの子どもを預かる千葉市中央区の保育園運営会社は新型コロナ禍に続いてのインフルエンザ拡大に不安を感じている。
厚労省によると、11~17日の1週間に定点医療機関から報告されたインフルエンザの新規感染者数で、千葉県は14・54人(前週8・57人)となり、沖縄県の20・85人に続いて全都道府県で2番目。全国でも1医療機関当たり7・03人となり、前週比1・57倍と急増した。インフルエンザは通常、冬に流行することから9月としては異例の状況となっている。
千葉市と成田市で保育園を運営する「ハイフライヤーズ」(千葉市中央区)の担当者は、県内でのインフルエンザ感染の急増に「不安はある」と打ち明ける。運営する各園では、今も新型コロナ対策として手洗いや換気などの徹底とともに、園児が触ったおもちゃのこまめな消毒や掃除ロボットによる除菌など感染予防を継続。インフルエンザ予防も同様の対策が有効と考えているが、気にしているのがマスクだ。
コロナ予防で保育士が着用していたマスクは今年5月の5類移行を機に外した。今後、インフルエンザ拡大が続いた場合は常時、着用せざるを得なくなる恐れがある。担当者によると、マスクを外した保育士を初めて見た園児が「先生、お口あったんだね」と話したこともあったという。
「コロナ禍の間、自分たちがマスクをしていたことが幼い子どもたちに与えた影響は想像以上に大きいと実感した。保育士がマスクを着けないことで、子どもたちが表情を読み取り、さまざまなことを学んでくれる」と担当者。インフルエンザ拡大でマスク着用が日常にならないよう願った。
保護者からも不安の声が上がる。同社が運営する保育園の一つ「キートスチャイルドケア桜木」(同市若葉区)に3歳の娘を通わせる同区の女性事務員(39)は「ずっとコロナ対策で周囲がマスクをしてきた。幼い子どもがインフルエンザにかかると、重症化するようなので心配」と表情を曇らせる。休日に柏市の商業施設に娘と遊びに行く予定だったが、インフルエンザ感染が心配で中止した。
稲毛区の女性会社員(35)は「5歳の娘が一度、インフルエンザになったことがある。39度以上の熱が出て、見ていてつらかった」と振り返り「子どもたちへの感染を防ぐためにも、大人が対策を進めてほしい」と求めた。