令和の歌舞伎町は地獄絵図 “ホス狂い”で人生破滅…多いのは20歳ソコソコの素人女性

ネオンきらめく深夜の歌舞伎町の路上で、20代の女が叫んだ。
「おまえ、人の人生ぶっ壊しておいて、まだ私のお金しぼり取る気で、ふざけるなよ、なめてんなよ、こら」
怒声の先に、スーツ姿の若いホストの男性が路上で大の字になっている。その肩口をカッターナイフで刺したとの目撃証言から、パトカーのサイレンのなか、駆けつけた警官が女を取り囲む。
「1000万円以上、使ってんだよ、マジで。許せない」
怒り心頭の女もその場に倒れ、パトカーに運び込まれた。そんな殺気立ち、騒然とした現場映像が5日朝のニュース番組からお茶の間に流れた。刺された男性は命に別条なし、女は殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されたという。
最近は殺傷沙汰も少なくないが、この日は飛び降り事件もあり、その現場近くでは「月末にあるホストクラブの締め日にお金を用意できなかった」などの理由から、リストカット騒ぎとなる若い女性の姿もあったとか。
コロナ禍に閑散としていたのが嘘のように盛り返し、売春やクスリ、ぼったくりといった違法行為が相次いでいる不夜城。ことし1月には女子中高生に貢がせた挙げ句、みだらな行為をしたとして、「メンズ地下アイドル」なるホストが東京都青少年健全育成条例違反容疑で逮捕される事件があった。
新宿区在住の芸能プロ関係者はこう言う。
「アイドルタレントと同様、お気に入りの『推し』に本気になってしまう女の子を最近は『リアコ』といい、『担当』ホストに入れ揚げた挙げ句、風俗やパパ活をはじめるというパターンは増えていると思いますよ。風俗嬢でしたけど、朝から翌朝まで複数のデリヘルで働き、自分は待合室の菓子で空腹を紛らわし、札はすべてホストにつぎ込むなんて子もいました」
そういうパターンは今や広く知られているのだろう。
「たとえばマンガアプリで大ヒットし、実写ドラマにもなった『明日、私は誰かのカノジョ』という作品があります。ホストなどにハマって、窮地に陥る若い女性の姿が描かれているのですが、そんな状況であっても、承認欲求をかなえたいのか、悲劇のヒロインにみえて憧れるという声もあるんです。もちろん今回の事件とは無関係ですが。そのなかで、本当に行動に移すタイプもいるのでしょうね」
■実家に訴状、払い切れず裁判沙汰に
地下アイドル事件では、少年育成課が「少女らの精神的な未熟さにつけ込む犯罪」として警鐘を鳴らしたが、これらがめぐりめぐって親の世代へも影響を与えていく。ある司法担当記者はこう言う。
「東京の有名大学に娘を通わせていた某地方の会社員男性は、住民票を実家に残したまま、転居した娘宛ての訴状が届き、愕然としたそうです。やはり『ホス狂い』になり、月額500万円超を請求されて、ソープに沈められ、それでも払い切れずに、裁判沙汰になっていたというのです。貯金やボーナスをかき集めて示談金にしていました。最初は新手の架空請求詐欺かと思ったのだとか」
前出の芸能関係者はこう続ける。
「何年か前まで、ホストをしていた男は毎年、複数の女性から結婚詐欺で訴えられていたと言っていました。常連となってもらうため、とりこにするための色恋、マクラ営業が仕事なのだけれども、それで揉めることに。『裁判にしてくれるだけまし』とも言っていた。もちろん、ランキングなどで売り上げを競わせ、億単位の上がりをホストに要求する店が増えているという背景も大きいでしょう。
また、コロナ禍ごろまでは女性客のメインが風俗や水商売関係だったのが、いわゆる素人の20歳前後の女の子がメインになっている。パパ活や美人局も平気というタイプも少なくなく、『担当』ホスト争奪ゲームの果てに身を持ち崩してしまっているのでしょうね」
人気グループのアーティストの新譜PR用だったトレーラーは、いつの間にか「億プレーヤー」と呼ばれる人気ホストの宣伝車となって、界隈を流していく。そんな繁華街で夜ごと繰り広げられているのはさながら地獄絵図か。