“指がない”ハトが次々に…名古屋の公園で見つけた異変 原因は髪の毛や糸くず!? 野鳥観察館の専門家に聞いた

愛知県名古屋市東区にある「オアシス21」。地上と地下をつなぐ屋根付きの広い吹き抜けが特徴です。ここにいるハトたちに今、異変が起きています。ハトの足元をよく見ると、足先の指が全てありません。この1羽だけでなく、他のハトも指がほとんどなかったり、一本だけ残っていたり、明らかに通常と様子が違います。一体なぜ指を失ったハトが多いのか、徹底調査しました。
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指を失ったハトが相次いで見つかった、名古屋市栄にある「オアシス21」。訪れる人に尋ねてみると…。
(街の人)「来る時にたまに見る。(指が)1本ないとか、上の方にもいる」
聞き込みを続けている間に見かけたハトも、よく足下を見ると全ての指を失ったハトや、指が1本だけ残り、右足が大きく腫れ上がっているものもいました。中には、足の指がないせいか、うまく金属の梁に止まれないハトも。
さらにハトたちの足をよく観察すると、「糸くず」やゴミが足先に絡みついています。他にも同じようになったハトは沢山おり、髪の毛がたくさん絡まっていたハトも。ハトたちに異変が起こっている理由を調べるため、40年以上野鳥の生態を観察してきた「名古屋市野鳥観察館」の小川和彦さんを訪ねました。映像を見てもらうと…。
(名古屋市野鳥観察館・小川和彦さん)「何羽かいるのは異常。20、30羽の群れの中にたまたま1羽いたというならありえる」
小川さんは、人の近くで生きているハトならではの出来事だと話します。
(名古屋市野鳥観察館・小川和彦さん)「(Qハトの足の指がなくなる理由は?)一番多いのがひも状のものが足に絡まって、ハト自体がそれをほどくことができない。(ひも状のものが)絡まってしまうと、壊死して指や足首からなくなってしまう。藤前干潟に来る鳥でも、指がない鳥がいる」
人の生活で少しずつ出ている糸くずや、髪の毛、ほこりなどがハトたちの足に少しずつ付着することで、足先の血行が悪くなり、指がとれてしまう可能性を指摘します。
CBC
実は、この野鳥観察館がある名古屋市港区の藤前干潟でも、ヒトの出すゴミが鳥たちに影響を与えていました。
(名古屋市野鳥観察館・小川和彦さん)「釣り糸や重りを回収したものを展示している」
藤前干潟で回収される、「釣り糸」や「重り」などのごみ。コロナ禍の釣りブームで釣り客がおよそ5倍に増え、ごみも大幅に増加。干潟にやってくる野鳥を苦しめていました。
(名古屋市野鳥観察館・小川和彦さん)「そこに展示してあるのが、(野鳥に)釣り糸やルアーが絡まったりして、野鳥に影響を与えている(写真)。先ほどのハトも、糸系のものが絡まれば指が取れる可能性は十分にある」
多くのハトたちが足指を失っている「オアシス21」。吹き抜けの下には、一面にプラスチック製の青いメッシュのマットが敷き詰められています。そこには、思った以上に髪の毛やほこり、糸くずなどのゴミが落ちていました。
ハト達は、ゴミが絡まって傷んだ足をメッシュの網目に引っかけて、失ってしまうのかもしれません。オアシス21のすぐ東側にある公園に行ってみると、誰かがまいたと見られるご飯を集まってついばむハトたちが。ここには、足に異常のあるハトはいませんでした。しかし、中にはご飯粒がノリのようにくっついてゴミを集めているハトも。
(名古屋市野鳥観察館・小川和彦さん)「足にご飯粒を付けて歩き回ると、糸くずなども(足に)付きやすい。それで何らかの形で絡まって、最終的には(指を)締め付けるような形で指をなくしてしまう可能性は十分にある」
都会の真ん中で暮らすハトたちに、人知れず起きていた“異変”。それは、人間と自然との関わりを考える一つのきっかけとも言えそうです。
CBCテレビ「チャント!」2023年11月8日放送より