炎上にビビらずに毅然と対応する姿勢に称賛の声 静岡県島田市「サバイバルゲームは戦争を想起させる!」

静岡県島田市が解体前の旧市庁舎を民間企業に貸し出し、11月26日にサバイバルゲーム(サバゲー)を実施する件について、市会議員や市民グループが「戦争を想起させるイベントで不謹慎」などとして中止を求める要望書を提出。これに対して、市側が「広義のスポーツとして位置づけ、中止はしない」と判断したことに称賛の声が集まっている。
同イベントは、11月27日から旧庁舎の解体工事が始まると知った静岡県内のサバゲー運営会社が島田市に企画を提案し、市の知名度アップなどにつながるとして島田市長が決裁したことで開催が決定。イベント名は「島田市役所旧庁舎 ファイナルゲーム要人救出大作戦」(当初は、市長救出大作戦!!)で、事前に申し込んだ約100人が参加予定となっている。
イベントのホームページによると、ゲームで使うのは0.2gもしくは0.25gのバイオBB弾に限定され、当日の注意事項として「駐車場から旧庁舎までは徒歩で移動。その際、迷彩服は着用したままでの移動ですが、エアガンはバッグやガンケースなどに入れ、エアガンが露出しないようお持ちください」などと近隣住民に迷惑がかからないように呼びかけられている。
ところが、これを報道で知った市会議員や市民グループなどから「サバイバルゲームや企業を批判するつもりはないが、戦争を想起させることで、公共の建物でやることではない」「島田市のためにならない」「議会や市民を無視して決めるのはおかしい」などとして中止を求める要望書が複数提出された。
要望書を提出した森伸一議員は、テレビ番組のインタビュー取材で「ガザやウクライナで戦闘が行われている時に、それを連想させるようなものを庁舎の解体イベントとしてやっていいものかと非常に疑問に思いました。市民みんながよかったというような送り方をしていただきたい。今の方法(※サバイバルゲーム)はそうはならなくて、後々に大きな悔いを残す形になると思うからやめてもらいたい」と中止を要望した理由を訴えている。
これに対して、島田市の萬屋正副市長は「スケジュールの制約があり、議会や市民と話をせずに決めてしまったことは認めます」とした上で、サバイバルゲームを広義でスポーツと位置付け、市の知名度アップにもつながるとして、イベントを中止しないと明言した。すでに旧庁舎は水道・電気・ガスが止まった状態だが、そんな中でも今回のイベントで貸出金として数万円が市の収入になることから、資産の有効活用として「適正」と判断したという。
また、当初イベントには島田市の染谷絹代市長が救出対象の「要人」役で参加予定だったが、市長は一部報道番組の取材に対して「これ以上誤解を招くようなことはしたくないと思いますので、当日の私の参加は見合わせたい」と参加取りやめを発表しつつ、イベントに関しては「予定通り開催させていただきたい。開催することを認めたいと思っております」と述べた。
この一連の騒動に対して、SNS上では「サバイバルゲームなんて平和だからこそできる遊びなのに」「戦争想起させるものがダメならクレー射撃や剣道、弓道、フェンシングなんかもダメでしょ」「ガンダムも戦争をイメージさせるからバンダイのプラモ工場は静岡から出ていかないといけない」「サバゲーに文句つけるより、本当に戦争やってるロシアとかに抗議するべき」といった中止要望への疑問の声が続出した。
さらに、中止の要望を突っぱねた島田市の対応について「議会に相談なしとか手続きに若干問題もあったろうけど、毅然とした態度でクレームに屈しなかったのは好印象」「ちょっとクレームがくるとビビって事なかれ主義に走る人が多い中、ちゃんと信念を持っていて立派」「クマ駆除への乱暴なクレーム電話に『ガチャ切りする』と断言した秋田の知事とかもだけど、こういう対応が増えると抗議したもん勝ちみたいな風潮が変わりそう」といった称賛の声が多く寄せられている。
旧庁舎でのサバイバルゲームの是非はともかく。さまざまな意味で結果的に島田市に大きな注目が集まっているようだ。