繰り返される“液状化”…「限界集落になってしまう」被災地域が直面する課題 地域全体の地盤改良も

地震による液状化で新潟市では多くの住宅が被害を受けました。再び地震が来れば、繰り返される恐れのある「液状化」。被害に遭った地域は、地域全体での地盤改良の必要性を感じ始めています。

新潟市内の広い範囲で被害をもたらした液状化。

【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 所長】
「とにかく液状化は繰り返す災害」

専門家が警鐘を鳴らすように、液状化は大きな揺れにより繰り返される災害です。

1970年代に住宅地が造成され始めたという江南区天野。1月の中頃には、液状化で発生した泥があちらこちらに積まれていました。

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
Q.被害があったエリアは
「(自治会内に)350世帯ほどあるが、ちょうど3分の1、こちらの辺りが液状化の被害に遭った」

自治会の一部に大きな被害が出ています。

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「特に傾きのひどい家の方からは『頭が痛い』『夜眠れない』という声も届いている。(住民は)今は全く先のことを考える余裕がないというのが実情ではないか」

一方で、自治会長の増田さんが必要性を考え始めているのは、熊本地震などで行政の支援の下で実施された地域全体での地盤改良についてです。

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「終の住みかがこんな状態で終わってはいけないと、私個人の考えとしては、何とかこの次に来る地震…いつ来るか分からないが、このような状態にならないように」

住民も再び大きな地震に見舞われることを危惧しています。

扉が閉まり切らないなど、自宅が傾く被害を受けた須佐喜美雄さんは…

【須佐喜美雄さん】
「何とか生活できるから我慢しようかと思って」

我慢という言葉が出る一方で…

【須佐喜美雄さん】
Q.また地震が来たら?
「怖い。もう一回来たら、屋根が重たいからつぶれるのでは」

再びの揺れに自宅が耐えきれる保障はありません。

新潟大学災害復興化学研究所の卜部所長も、地域で地盤を改良する必要性を訴えています。

【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 所長】
「再建には地盤改良にお金がかかるが必要。街区単位でまとまって、何らかの策ができないか」

地域全体の地盤改良に行政の支援が受けられた場合も、住民の同意や長期にわたる工事など、その道のりは容易なものではありません。

それでも、自治会長の増田さんは…

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「地震を契機に将来の見通しがないということで(住民が)引っ越すことを非常に危惧している。空洞化というか、都会の限界集落みたいになっては大変なので、メドをはっきり立てて、みんなでこうやろうという気持ちで対応していけば、案外皆さんとどまってくれると思っている」

地震による液状化を受け、自分たちの地域をどう維持していくのか…被災地は、次なる課題に直面しています。