JR津田沼駅北口の中核商業施設だった津田沼パルコ(船橋市前原西)が28日、全館で一斉に営業を終了し、45年8カ月の歴史に幕を閉じた。近隣の新興商業施設との競合などによる売上減も撤退理由だが、最終日は多くの客が訪れ、人生の節目ごとの思い出を振り返り、買い物や食事。閉店時刻の午後9時には外壁にレーザー光線で「Thankyou(サンキュー)TSUDANUMA!」とのメッセージが投影され、従業員が窓越しに手を振り、明るく別れを惜しんだ。
2016年11月に千葉パルコ(千葉市中央区)が閉店しており、これで千葉県内からパルコが姿を消した。
閉店セレモニーをB館6階で午後8時から開き、津田沼パルコの野口香苗店長(51)が「悲しい終わり方ではなく、大団円が目標だったが、最終日にも多くの人たちがにぎやかにしてくれて最高のエンディングになった。パルコがなくなっても明るくすてきな街であり続けて」と述べ、2年前に閉店が決まってからも催事などで絆が続いた客や地域住民らに感謝した。
入居テナントを代表し、A館のメンズ服店「ハイストリート」で35年勤務を続けた山岸昭宏さん(58)は「景気や災害、コロナ禍にも左右され、山あり谷ありだったが、最終日にこの場所にいられることが一番の幸せ」と万感。従業員仲間もねぎらった。船橋と習志野の両市長も駆けつけた。
B館の建物は、地元の所有者らが3月16日から後継商業施設「Viit(ビート)」に模様替えして再出発。献血ルームを含む10店舗が残り、9月までに40店規模で全面開業を見込む。所有者が違うA館は閉鎖。新たな建物を造る構想も浮上している。
津田沼パルコの最後の姿をスマートフォンで撮っていた東京都文京区の会社員、入江一也さん(50)は「実家が近くの千葉市で中学生の頃から訪れ、さまざまな物があって楽しかった。ちょっとさみしいが、また人が集いたくなる施設が出来てくれば」と期待。館内の喫茶店や飲食店にも長い列ができ、親子や友人で思い出話に花を咲かせた。