西側で最大の水上戦闘艦となる見込みです。
防衛省は2024年4月2日、アメリカのミサイル防衛庁とロッキード・マーティン社が、自衛隊のイージス・システム搭載艦向けのSPY-7レーダーの試験を実施し、成功したと発表しました。今回の試験で、初めて宇宙空間の物体を探知・追尾することに成功したとしています。
デカい!海自「空前の水上戦闘艦」建造へ準備着々 搭載レーダー…の画像はこちら >>現時点で最新のイージス艦まや型(画像:海上自衛隊)
イージス・システム搭載艦は、配備が中止された陸上配備型イージス・システム「イージス・アショア」の代替となるものです。従来のイージス艦は対空レーダーとしてSPY-1を搭載するのに対し、イージス・システム搭載艦は「イージス・アショア」用だったSPY-7レーダーを搭載することが特徴です。 さらに、既存のイージス艦と同等の各種能力や機動力も確保されます。基準排水量は1万トン台前半、速力は約30ノット(約55.6km/h)で、動揺に強い設計とする方針が示されています。就役後は、西側で最大の水上戦闘艦となる見込み。主にBMD(弾道ミサイル防衛)を担当することが想定されています。 主要装備は、弾道ミサイルやHGV(極超音速滑空兵器)への対処能力を持つ「SM-6」対空ミサイルですが、将来的にはアメリカのミサイル防衛庁が開発中の対HGV新型迎撃ミサイルなども運用できるよう拡張性が確保されます。また、国産の「12式地対艦誘導弾能力向上型」の艦対艦ミサイル仕様なども備える予定です。 今回のSPY-7レーダーの試験は、2024年3月29日にアメリカ・ニュージャージー州の地上施設で実施。ハードウェアとソフトウェアが、宇宙空間の物体を正確に探知・追尾し、得られた情報を正常に伝送できることを確認したとしています。
防衛省は、2024年度予算にイージス・システム搭載艦の整備費用として3797億円(2隻分)を計上。今年度から建造に着手し、2027年度に1番艦、2028年度に2番艦が就役する予定です。