【金子恵美の本音】 今こそ国会に残る負の遺産を改革せよ

「内政の失敗は内閣が責任を取れば収まるが、外交の失敗は一国を滅ぼす」と言われています。林外務大臣がインドで行われたG20外相会合に欠席したことが国内外で問題になっています。現下のウクライナ情勢と、増大する中国の脅威が迫る中で、諸外国はこのタイミングで欠席をする日本にあきれ返っているのが現状です。
背景には日本国内の国会運営を優先したことがあります。総理やその他の国務大臣は国会に出席を求められた際、要求に応じなければなりません。なので、昔からよく言われていましたが、日本の総理大臣は主要先進国の中で最も国会の出席日数、出席時間が長いのです。国会審議が重要なのは言うまでもありませんが、国会に縛られることで外交上の損失、国益を損なうようことはあってはならないという問題意識はこれまでも持たれてきました。副大臣対応で可能なものは積極的に任せるべきです。
もともとは野党の要求に応じなければならなかったのですが、最近は多少野党側も理解を示すようになったそうです。今回は、与党自民党側も野党に配慮したものと批判されています(はたまた官邸と自民党の間で意思疎通が取れていなかったとも言われています)。
国民は非合理的な国会日程闘争に巻き込まれるのは、ばかばかしいと誰もが思うでしょう。日本は内発的な改革がなかなか進まない一方で、鎖国していた江戸幕府が黒船来襲から開国に向かったように、外発的な圧力には流されやすい側面があります。今回の失態により、国会の悪(あ)しき古き慣習は開国を迫られています。今こそ国会に残る負の遺産を改革すべきだと思います。建設的な議論に期待します。
これまで拙い私の意見をこの場をお借りして発信してまいりましたが、今回が最終回となりました。政治の制度や、時事問題を改めて考えるきっかけを下さった読者の皆様に心から感謝申し上げます。1年間ありがとうございました。