「十年後の未来が来た」孤立経験した集落で“全農家が田植え断念” 生活の再建は…能登半島地震あすで半年

7月1日で能登半島地震の発生から半年です。被災地には自宅だけでなく田んぼも使えなくなり、ことしの田植えを諦めた人が多くいます。これが「集落の維持」に関わると、孤立を経験した集落では危機感を強めています。
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隆起した海岸を活用し、通行が再開した国道を東へ。石川県輪島市の中心部から12キロ。地震で孤立した集落を取材班が4か月ぶりに訪ねました。輪島市の南志見地区は能登半島地震で地区全体が孤立し、住民のほぼ全員、約700人がヘリコプターや車で金沢市などに集団避難しました。これまでに154戸の仮設住宅が完成しましたが、地区に戻ったのは200人ほどに留まっています。
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(仮設住宅で暮らす 大西一郎さん 74歳)「狭いっちゃ狭い。1人ならなんとかできるけど、2人やと…」
水道や下水道が復旧したのは、仮設住宅と一部の家だけで、崩れた家々は解体の目処も立っていません。そして、地震は住民の生業にも深刻な影響をもたらしました。
南志見地区の山あいにある渋田町では田植えが終わる時期なのに、一面の田んぼに水がありません。(川岸修一さん)「ブロックが見えると思うが、あそこが道になっていて、そこに(田んぼの)用水が通っている。崩れてるでしょ」
地震で自宅が倒壊した、兼業農家の川岸修一さん。田んぼに水を引く用水路は土砂が崩れたところや、地震の揺れで破損したところがあちこちに…。
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肝心の田んぼにも、大きなひび割れが目立ちます。川岸さんのように、地震で家も田んぼも使えなくなった地区の10軒ほどの農家はすべて、ことしの田植えを諦めました。
(川岸修一さん)「地震がなくても、毎年とは言わないが耕作する人が少なくなっていた。『十年後の未来が来た』というのはその通り」
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石川県によりますと、奥能登の2市2町で稲の作付面積は去年の約6割にまで減る見通し。この日は田んぼの用水路の周りが荒れないよう、地区の外に避難した人も含め皆で、草刈りをしましたが輪島市が行う、用水路の復旧工事はめどが立っていません。
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自宅が倒壊した川岸さんは、いまは金沢市のアパートで避難生活を送っています。6月、工場での仕事も見つけましたが、先が見通せない不安は強まっています。
(川岸さん)「解体が進み、インフラ(復旧)がある程度スピーディーになっていれば、『戻ってなんとかしようか』という未来像が見えた人も一定数いたんじゃないか」「(南志見に)戻らないこともないし、どういう風になっていくかは見届けたい」
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住み慣れた場所で収入も含めた、生活の再建は出来るのか…。集落の維持にもかかわる課題が、浮き彫りになっています。