ある日突然「八ヶ岳に行こう」と旅行を楽しんだ理由 今月まで超おトクで…

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「あさってなんだけど八ヶ岳に旅行に行こうか?」
忙しい経済評論家の鈴木貴博です。つい先々週、家族の間でこんな会話をして、そのまま八ヶ岳のリゾートホテルを予約することになりました。きっかけは八ヶ岳の馴染のお店が開店30周年だというレターが届いたからなのですが、スケジュール表を見てみるとちょうどその週の真ん中あたり、午後1時から翌日の午後3時まで26時間ほどすっぽりと仕事のスケジュールが空いていたのです。
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「つまり家に戻って車を出して八ヶ岳に向かえば、3時過ぎにはチェックインできるよね。お昼に現地を出れば午後東京に戻れるし」
「そうだ、行こう行こう」
という話になり急きょこの日は有給休暇とあいなったのです。
家族の間でこんな風にイージーゴーイングな感じでの旅行がブームになっている理由がもうひとつあって、それが政府の行っている「全国旅行支援」です。
コロナ禍で苦しむ観光業界をなんとか盛り立てようという国の施策ですが、いよいよマスクを外すときがきたとともにGoToトラベルから始まった旅行支援施策は4月以降も延長が決まりました。そこで今回の記事では全国旅行支援の経済性についてまとめてみたいと思います。
先に結論を言うと、この全国旅行支援のおかげでウィークデーの八ヶ岳旅行費用はホテル代が6,000円、高速代が往復7,000円でガソリン代が約5,000円とかなりお得な旅になりました。節約に寄与したのはもちろん6,000円と格安になったホテル代部分です。

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ここで全国旅行支援の仕組みをおさらいしましょう。
旅行会社経由で旅行を予約すると旅行代金が最大20%オフ(ひとり3,000円まで)になるとともに平日だとひとり2,000円分の買い物クーポンがもらえます。割引適用にはワクチン接種証明か陰性証明が必要で、適用はGWを除いた通常期。4月以降の延長は、予算がなくなり次第終了します。旅行サイトによってはすでに予算が終了した都道府県もありますが、ヤフートラベルの場合幸いにして山梨県はまだ旅行支援適用中です。
そしてもうひとつ経済性として重要なのは「ホテル代は閑散期ほど安い」という話です。シティホテルなら平日は高くて休日は安いのですが、リゾートホテルは逆で週末は高く平日は安い。さらに寒い土地柄だと2月や3月は閑散期で安い。つまり八ヶ岳に平日に旅行に出かけるのは経済的にも旅行支援が使えるという点でもこのタイミングで最適だったのです。
というわけで広さ36平方米の豪華なリゾートホテルが一泊13,000円と、もともと安くなっているうえに、旅行支援の割引とポイント割で10,000円になり、そこから地元で使える買い物クーポンも4,000円分もらえたというのが冒頭の話でした。
実は平日に旅行に出かけるというのは社会学的にも理にかなっています。わたしが育った昭和の時代には有給休暇は制度としては存在していても、利用しようものなら人事考課に悪影響するような、本音と建前の差が大きかった時代の絵に描いた餅のような制度でした。

結果として昭和の時代は連休になると日本人全員が休みだから旅行に出かけ、ホテル代は高いわ、列車は混雑するわ、道路は渋滞するわ、観光地はイモ洗い状態になるわで散々な時代でした。
ところが令和の時代は逆にコンプラを守るために会社は有休を強制的にでも消化するように迫ってきます。今では一番空いている時期を自分のスケジュールで選べるわけで、平日に休暇をとって旅行するのはある意味で会社からも観光地からも感謝される社会貢献になるのです。
そして3月は年度末。人事部からの命令で今月中に有休を使い終わらなければいけない会社員の読者の方も多いのではないでしょうか。だったらスケジュール帳と旅行サイトを眺めながらちょっと考えてみてはどうでしょう? ひょっとするとあさってあたり、リゾート地で、温泉地で、ないしは地方都市で、格安で気分転換ができるかもしれませんよ。

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「全国旅行支援の楽しい使い方」についての解説をお送りしました。
(文/鈴木貴博)