帝国データバンクは1月26日、「恵方巻の価格」に関する調査結果を発表した。調査は、全国の大手コンビニエンスストアや外食チェーン、スーパー、百貨店、著名な日本料理店など計104社で販売される2023年節分シーズンの恵方巻価格を調査・分析した。
「恵方巻」にも値上げの波が押し寄せている。全国104社で販売される2023年節分シーズンの恵方巻価格は、一般的な五目・七目の恵方巻(太巻・1本当たり)で平均898円と、前年(825円)から約8.8%(73円)上昇。また、豪華で高級志向な品が多い海鮮恵方巻では平均1,633円となり、前年(1,475円)から約10.7%(158円)アップし、恵方巻1本当たりの平均価格は、前年から70~160円前後アップするなど値上げ傾向が鮮明となった。
太巻きに用いられる玉子焼きは鶏卵価格が大幅に上昇しているほか、不作による供給減で品薄感が出始めた干しのり、国産・中国産ともに供給減が続く味付けかんぴょう、穴子など、主な原材料で価格の上昇がみられる。海鮮恵方巻でも、国産まぐろの価格が前年から40%超の上昇となっているほか、子供に人気の高いサーモンなど輸入さけ・ます類の価格も大幅な値上がりが続いている。こうした情勢を背景に、恵方巻でも価格転嫁に踏み切った場面が多いとみられる。
ただ、値上げ幅では低価格な恵方巻と、高価格帯の海鮮恵方巻とで傾向が分かれた。前年からの価格上昇幅をみると、恵方巻は、食品スーパーでは10円単位での値上げに抑制する傾向がみられ、「100円未満」が48社(うち据え置き22社)と全体の半数超を占めたのに対し、海鮮恵方巻は「150円以上」の値上げとなった企業が31社。100円以上の値上げを行った割合は、海鮮恵方巻(58%)が恵方巻(31%)に比べて20ポイント以上高い結果となった。
一方で、調査対象となった企業の多くが店頭やWEBによる恵方巻の「予約制」を導入している。数量限定の予約による受注生産では大幅な売り上げ増加が見込めない反面、需要に見合った販売により「廃棄コストの低減につながる」メリットも。食品の価格高騰が続くなか、食材コストの抑制策として今後の季節商材に予約販売制が定着していくか注目される。