2023年4月から、法改正され自転車のヘルメット着用が「努力義務」になります。愛知県では1年以上前に条例で努力義務化されていますが、普及は進んでいるのでしょうか。 1月17日、名古屋市千種区で自転車に乗る人たちにヘルメットの着用を呼び掛けるのは、愛知県警の「B-Force」。自転車専門の取り締まり部隊です。道路交通法が改正され、4月から自転車に乗る人は全員ヘルメットの着用が罰則のない努力義務として課されることを受け、啓発を進めています。
愛知県は既に2021年10月から、条例で自転車に乗る際のヘルメット着用を努力義務化。
改正される道路交通法と内容は変わりませんが、施行からすでに1年余りが経ちました。その効果は出ているのでしょうか。名古屋市中区栄で定点観測してみると、30分余りの間に通った150人のうち、ヘルメットを着用していたのはわずか8人でした。
愛知県の調査に対し、自転車に乗る際にヘルメットを「全く着用していない」と答えた人は、条例の施行前より減ったものの、去年2022年は79%と多いままです。
ひときわ頑丈そうなヘルメットを被っていた男性は…。男性:「知り合いでも亡くなった人がいますから、(ヘルメットは)やっぱり大事だなと思います。他はケガがないんだけど、頭だけ打っているからそのまま亡くなっちゃった。だから頭は大事だなと思って」 JAFが自転車同士の事故の実験について映像を公開しています。映像では親子3人が乗った自転車が転倒し、頭を地面に打ち付けます。この時、衝撃が脳に及ぼす影響度を示す目安の数値は、後ろの席の子供では、ヘルメットの有無でおよそ17倍もの差があります。
ヘルメットを着用しない場合、死亡率は3倍ほどになるとの警察庁のデータもあります。2022年、愛知県で自転車事故で死亡した人は20人。いずれもヘルメットは被っておらず、うち6割の死因は頭を打つなどしたことでした。 法改正の背景にある、リスクとデータ。それでもなかなか着用が普及しない理由は…。女性:「子供だけかぶっています。私はかぶらないです。子供の頃にあまりかぶる習慣がなかったので、あまり必要性を感じないというか」男性:「罰則でもかかればヘルメットをかぶると思うけど、今のところはちょっとかぶる気はないな」女性3人組:「ダサいから」「髪型がぺちゃんこになっちゃう」 着用率アップを目指し、自転車業界も知恵を絞っています。ワイズロード名古屋ウェア館の店長:「こちらがヘルメットコーナーになります。約80点、展示させていただいています。ここが動きますので、髪の毛が長い方も、くくっていただいた髪の毛をここから出すこともできる」
名古屋市中区の店舗に並ぶのは、髪が長くても被りやすいように設計されたヘルメットや、一見、帽子にも見えるおしゃれなものもあります。
条例や法改正を受け、ニーズに合わせたヘルメットが今後増えていく見通しだといいます。女性客:「普通にキャップをかぶっているみたいな、思ったよりかわいいです。子供にかぶらせると、『ママもかぶった方がいいよ』とよく言われます。自分の命を守るためだったら、かぶった方がいいかなと思います。家族のためにも」ワイズロード名古屋ウェア館の店長:「お問い合わせ自体はありまして、4月に向けてなるべく早めに準備していただいた方がいいかなと思います」