統一地方選挙 選挙カーは使わず事務所も無し 2525票で市議に初当選 元看護師の諸井菜々子さん(36) 愛知・豊橋市 最低限のお金で「若者も政治に興味を持って」

4月23日、統一地方選挙の後半戦が終わりました。各地で激しい選挙戦が行われた中、愛知県の豊橋市議会議員選挙に子育てをしながら挑んだ、ある女性候補に密着しました。
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(無所属・新人諸井菜々子さん)「議員という責任ある立場をもって、皆さまを巻き込んで少子化対策・子育て支援を充実させていきたい」
公示日の初日、たった一人で駅前に立ち訴えを続ける女性。無所属で豊橋市議会議員選挙に立候補した新人の諸井菜々子さん36歳です。
演説が終わると、すぐに車で移動し選挙ポスターも自ら貼ります。諸井さんは元・看護師で5歳の息子と2歳の娘を育てる2児の母。
(無所属・新人 諸井菜々子さん)「このままだと子どもが大きくなったときに『どんな社会になるのかな』とすごく不安で。働けども働けども社会保障や税金で手元にお金が残らないのはかわいそう」
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「今こそ少子化対策が必要」との思いから、就学援助の拡充や2人目以降の子どもを育てる世帯の支援などに重点的に取り組みたいと立候補を決意しました。
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選挙活動は2人の子どもを幼稚園と保育園に預けた後。街頭演説はいつも一人で行います。定員36人に対し48人が立候補した豊橋市議選に、今回初めて立候補した諸井さん、選挙の戦い方で意識していることが。
(無所属・新人 諸井菜々子さん)「(選挙カーに)否定的な声も聞くので。うるさいとか子どもが起きるとか」
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選挙カーを使った名前の連呼は子育て中の母親には不評であるため、今回の選挙ではそもそも選挙カーを用意せず、子育て世代が多く集まる公園などに出向き、1人1人に直接声をかけ支持を訴えます。

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子育てと選挙戦の両立。夫が半休を取れない日は街頭演説を切り上げ、子どもを預け先から引き取り、晩ご飯を作ったあと再び街頭に。しかし、いつもより子どもとの時間が取れないことに、もどかしさを感じることもありました。
(無所属・新人 諸井菜々子さん)「結局、私がやりたいことをやっているだけかなみたいな…」
それでも諸井さんが出馬を決めたのは、子どものためだけではない、もう1つの理由が。
(無所属・新人 諸井菜々子さん)「お金がある人だけ、時間がある人だけが政治活動ができるのは違う。実際に苦労していることがある人目線でやっていかなくてはならないからこそ、お金をあまりかけなくても(選挙に)出られるのが大事。立候補のハードルが低くなるような選挙になったらいいなと思う」
子育て中で時間にゆとりがない中でも事務所をかまえず、選挙運動を支援するスタッフも雇わず、最低限のお金で選挙に挑む姿を見てもらうことで、若者に政治への興味を持ってもらいたいという強い思いがありました。事務所なし・選挙カーなしの、たった1人で戦った選挙戦。そして迎えた4月23日、子どもたちを寝かしつけた後、夫婦2人で開票状況を見守ります。そして…、結果は2525票を獲得し初当選。
(夫 諸井條太郎さん)「勝てるとは思わないでしょ…」(無所属・新人 諸井菜々子さん)「(夫は)『選挙カーなし・公選はがきなし・事務所なし・後援会なしって言ってるけど無理じゃね?』って」(夫 諸井條太郎さん)「街宣車出している人に勝てるんだね」
激戦を制した諸井さん、今後は2人の子どもの子育てに加え、2525人の期待を背に少子化対策に取り組む生活が始まります。