“部下の巨額横領”で上司にも約3000万円の賠償命令「なぜ自分が…」病院事務長が処分取り消し求めて提訴 「アイドルとの2ショット写真で」三重・南伊勢町の被害額は1億7000万円

三重県南伊勢町の病院で発覚した巨額横領事件で、「部下の横領の責任」を問われ約3000万円の賠償を命じられた元上司が、その処分の取り消しを求めて提訴し、24日、第一回の口頭弁論が開かれました。
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町立南伊勢病院の元会計担当職員・廣出翔被告(=公判中)39歳は、病院や町役場の上下水道課の口座から約1億7000万円を横領していた罪に問われていて、廣出被告はその金を「アイドルとの2ショット写真などに使った」と供述しています。
この事件を受け、南伊勢町は廣出被告に約1億1800万円、元上司4人にも横領を見抜けなかった責任があるとして、あわせて5000万円余りの賠償命令を出しました。
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このうち、約3000万円の賠償を命じられた元病院事務長の男性がことし2月、命令の取り消しを求め提訴。24日、津地方裁判所で第一回の口頭弁論が開かれました。
元病院事務長側の弁護士は「町長や総務課長にも責任があるにも関わらず、男性に約3000万円の賠償責任を負わせるのは誤り」と主張しています。一方で南伊勢町は「病院の口座はノーチェックで出金し放題となっていた。元病院事務長の男性の注意義務違反は免れない」と主張し、争う構えを示しました。
次の裁判はことし7月に開かれる予定です。
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【裁判の争点】(元事務長)前任者からは「廣出被告に任せておけばよい」とまで言われ、リスクマネジメントも前年と同じことをしていた。横領を直ちに見抜けなかったとしてもやむを得ない。(南伊勢町)出納員として元事務長に注意義務違反があったことは明らか。

(元事務長)町長や病院長などに賠償責任を負わせず、元事務長にのみ責任を負わせるのは違法。3割の責任も過大である。
(南伊勢町)早期発見できれば金額も少額で済み、弁済も可能だったと思われる。

(元事務長)預金残高を不審に思い、廣出被告に確認したことがきっかけ。
(南伊勢町)廣出被告の虚偽を発見したのは当時の総務課長、総務係長である。職員らは夜間休日問わず事案解明に忙殺されていたが、元事務長は一切かかわっていない。

(元事務長)口座から現金を引き出したのは地方自治法上の「現金の亡失」にあたらない。
(南伊勢町)現金化した時点で公金としての現金。

この裁判で、原告(元病院事務長)側の弁護士は、
★「原告は、町長や病院長には賠償責任はなく、自分だけが責任を負わされていること『なんで自分だけ』ということに一番憤っている」
★「一人の職員を信じ切っている小さい町役場の体質が原因ではないか」
★「自身が着任する前にも賞与のミスや別の横領が町で起きており、その時点で改善されていれば今回の横領は起きなかった。個人の問題ではなく組織のガバナンスの問題」
と主張しています。