製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))は1月26日、毎年100人前後が死亡している「着衣着火」の原因や事故防止のためのポイント、発生時の対処法について発表した。
ガスこんろなどの炎や電気ストーブなどの熱源により衣服が燃える・焦げる「着衣着火」は、炎が出る機器だけでなく、電気ストーブ等の炎が出ない熱源を持つ機器に衣服が接触したりすることでも発生する可能性があるという。特に冬場は、卓上こんろや暖房器具を使う機会が増えることに加え、厚着によって着火に気付きにくくなるため一層の注意が必要とのこと。
消防庁によると、着衣着火による死者は過去5年間(2017年~2021年)で492人となっており、毎年100人前後が死亡している(出典:総務省消防庁ホームページ 消防統計(火災統計))。
同機構にも、2017年度から2021年度までの5年間に20件の事故が通知されており、製品別にみるとガスこんろの事故が最も多い。事故の原因は、消費者の誤使用や不注意等による事故が8割を占めている(原因不明及び調査中を除く)。事故は高齢者の割合が高く、死亡事故はすべて70歳以上であるという。
今回、事故を防ぐためのポイントを公開。ガスこんろなどの炎は、目には見えていない部分にも存在するため、目に見えている炎から離れていても着火する可能性がある。特に冬は重ね着などで衣服の厚みが出るため、衣服の過熱や着火に気付きにくい。衣服と炎や熱源との距離を常に意識して近づき過ぎないよう注意することが大事とのこと。
調理中、炎が近くにある場合は、マフラーやスカーフなど長く垂れ下がる可能性のあるものは外し、裾や袖が広がった”だるだる””もふもふ”の服や毛先が長いもの、毛羽立っているもの、紐が付いているような衣服の着用はできる限り避けるよう呼び掛けている。特に化学繊維の場合は、溶けて皮膚に張り付いてしまうのでやけどの被害が大きくなる可能性があるという。
○着衣着火が発生してしまったら
もしも着衣着火が発生した場合、近くに水場や消火器がある場合は、着火箇所に水をかけるなどして消火を行う。衣類を素早く脱ぐことができる場合は、服を脱ぐこと、一人では対処できない場合もあるため、周囲の人に大声で助けを求めることも大事とのこと。
服が脱げず、また近くに水や消火器が無い場合に有効な「ストップ、ドロップ&ロール(止まって、倒れて、転がって)」についても紹介。体と地面の間にできるだけ隙間がないよう地面に倒れ込み、燃えているところを地面に押しつけるようにしながら左右に転がることで消火させる。
火がつき、パニックになって走るなどしてしまうと、風によって酸素が取り込まれ火の勢いが大きくなってしまうおそれがあるため、まずはその場で止まることが大事だという。加えて、顔へのやけどを防ぐために、両手で顔を覆うようにすることも心掛ける。
NITE公式 YouTubeでは、ガスこんろの「着衣着火」や、着衣着火の対処方法について公開している。