カラオケで「10代から60代まで歌う曲」が明らかに! 全年齢層を分析

エクシングは4月27日、博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)が「消齢化」と名付けて研究を進めている”年齢層による価値観の違いが年々小さくなっている現象”について、通信カラオケ「JOYSOUND」の「うたスキ」会員の歌唱データを提供することで共同研究を実施し、その結果を発表した。

「20代は〇〇な人」というように、価値観や嗜好を年齢層によって塊として捉えることはよく行われるが、以前は大きかったそれらの差が、年々小さくなっているという。生活総研ではそれを「消齢化」と名付け、研究を進めている。

同調査では、同社が蓄積した2012年からの11年分の年齢層別(10代~60代)のカラオケ歌唱データを分析することで、「好きな曲を選び、歌う」という生活者の行動から「消齢化」の実態を検証した。

全年齢層(10代~60代)カラオケランキング Top200に入ったタイトル数の推移をみると、2012年に全年齢層で歌われていたのは AKB48「ヘビーローテーション」、高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」などの4曲にとどまっていたが、2016年から急速に増え始め、2021年には23曲に増加した。

2022年は、優里さん「ドライフラワー」やAimerさん「残響散歌」をはじめ20曲となっており、全年齢層で歌われる曲は、10年間で4曲から20曲へと5倍に増加した。

また、近年の生活者の方が”過去の曲”を歌っていることも明らかとなった。レミオロメン「粉雪」など、10年以上前にリリースされた曲が全年齢層で歌われるようになる傾向が年々強まっている。

シニアにおいては、歌唱行動が若者に近づいたパターンもあった。男性におけるスピッツ「チェリー」の歌唱ランキングにて、60代における歌唱順位が年々上昇し、若者との差が縮小している。

こうした結果の背景には、生活者の欲求に応える情報環境が整っていることも考えられる。「THE FIRST TAKE」の視聴傾向から、過去の名曲にインターネットを介して出逢う若者たちが多いこと、昭和の人気歌謡曲は、覚えやすく歌いやすいのか、自身が生まれる前に発売された曲を大学生が歌うケースも増えている。

海外の生活者を対象に行われた調査では、音楽の趣味は30代前半までに固まり、以降新しい音楽を聴かなくなるという結果も出ているが、今回、カラオケの歌唱データを検証した結果、60代でも10代と同じように新しく発売された曲に出会い、覚え、歌っているということが明らかになった。