統一地方選 視点2「自民転身した今井瑠々氏 有権者の審判は(岐阜県議選・多治見市)」~CBCテレビ論説室長が3つの視点で地元結果を分析

長年、選挙報道に携わっているCBCテレビ論説室長が3つの視点で地元結果を分析します。視点2は多治見市の岐阜県議選についてです。
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全国的に大きな関心を集めたのが、岐阜県議選の多治見市選挙区の選挙でした。前回の総選挙で立憲民主党から出馬し自民党候補と接戦を演じながら、今回、立憲民主党を離れ、総選挙では対立した自民党の推薦を受けた今井瑠々さんが、自民党公認の友江惇さん、無所属で、非自民の受け皿となった形の判治康信さんと2つの議席を争ったからです。結果は、前回総選挙で今井さんを支えた側でもあった判治さんがトップ当選、2議席目が今井さん、そして友江さんが涙をのむ結果となりました。この結果について、出口調査からは次の2点が見えてきます。これも期日前と当日出口調査を合算しています。
各候補が、どの支持層から、どれだけの得票をしたのか、先ほどと同じように、主な支持政党別の投票動向を下のグラフにまとめました。
統一地方選 視点2「自民転身した今井瑠々氏 有権者の審判は(…の画像はこちら >>
一見して、支持政党なし層の得票順が、そのまま今回の結果につながっていることがわかります。トップを制した判治さんは、支持政党なし層も半分を得票、非自民の受け皿としての役割もしっかり果たしています。特に、立民は91%という高い得票率、これには、今井さんが自民に移籍したことが影響していそうです。これはこの次で考えます。

さて、ともに自民系の今井さん、友江さんの争いについては、友江さんは、支持母体である自民で今井さんを8ポイント上回っているのに加え、推薦の公明党支持層から大きく得票しているのですが、支持政党なし層の得票で、今井さん31%、友江さん16%と大きく水を開けられた形です。友江さんは、組織を固めたのですが、支持政党なし層へウイングを広げた今井さんが、この自民系二人の争いを制した形に見えます。
ただし、立民から自民へ転身しての、今回の今井さんの勝利、投票者の大方の信任を受けたと言えるのでしょうか。これについては、さまざまな意見があるように見えます。今回の出口調査では、「今井候補が立憲から自民に変わったことについてどう評価しますか」という質問も行いました。まず、有権者全体の評価と立民支持層の評価です。
CBC
実は、出口調査全体でも、評価しない42%、評価する23%と評価しない有権者のほうが明らかに多く、また、立民支持層では、79%と8割近くが評価しないと答えています。さらに次のグラフをご覧ください。今井さん当選の原動力の一つといえる支持政党なし層でも、今井さんの転身について評価しないが45%、さらに分からないと答えた方が42%もいるのが注意を引きます。
さらに注目なのは自民党支持層の今井さん評価と投票行動の関係です。円グラフも見てください。
CBC
自民支持層で、今井さんの転身を評価しないとこたえたかたは、2割以上のかたが、あえて非自民の対立候補ともいえる判治さんに投票しているのです。

全国に注目された多治見市の岐阜県議選でしたが、ここまでをまとめますと、今井さんの当選は支持政党なし層の支持を受けたことが大きな要素と考えられますが、一方で、今井さんの転身について、国政の野党支持層の批判を呼び起こし、それが、非自民の受け皿となった判治さんトップ当選の要素にもなったと言えそうです。さらに、今井さんの転身については、お膝元自民党支持層の一定の批判もあり、その一部は、あえて判治さんに投票していますし、支持なし層で転身を批判するかたや、評価についてはわからないと答えたかたもかなりいらっしゃいます。今後、今井さんが議員活動を通じ、こうした声にどのようにこたえていくのか注目していきたいと考えています。
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