月ぎめで今回は500円…再値上げの朝日新聞に《ご都合主義》とのアレルギー反応が出るワケ

《自分たちが最もご都合主義だった》
《言ってきたことと、今やっていることが見事に矛盾している》
5月1日から値上げに踏み切った朝日新聞に対して、SNS上ではこんな声が広がっている。朝夕刊セット版の月ぎめ購読料は、4400円から4900円、統合版は3500円から4000円にそれぞれ改定となった(いずれも税込み)。
朝日新聞といえば、2021年7月にも値上げをしているから、およそ1年10カ月で863円(朝夕刊セット版)もの値上げとなる。
民間調査会社「帝国データバンク」は、5月から値上げを予定している飲食料品は824品目になると発表したが、物価高が止まらない状況下で、今回の朝日新聞の値上げは正直、食品以上のインパクトを感じざるを得ないだろう。
印刷、紙代といった資材の高騰もあり、やむを得ない要素はあるものの、読者から《ご都合主義》との声が出ているのはなぜか。理由を探ると、2010年代にさかのぼるようだ。
「新聞に対する税率を低く抑える軽減税率を導入すべき」
朝日と並ぶ全国紙の読売新聞が、社説でこう主張したのは2012年10月だった。当時、読売や朝日など大手紙各社は「財政健全化には消費増税が急務」「増税しないとギリシャの二の舞いになる」と消費増税を煽っていたのだが、いざ増税法案が成立した途端、「でも、俺たち新聞は対象外ね」と手のひら返し。
日本新聞協会が開いた当時の新聞大会でも、「新聞には軽減税率を適用するよう強く求める」との決議を採択。その席上、朝日新聞幹部は「経営を直撃する消費税の大波をどう乗り越えるか。進むべき道を探り出していかなければならない」などと訴えていた。

■「知識に課税するな」といって、あっという間に値上げ
国の借金を減らすための消費増税が欠かせないと紙面でキャンペーンを張りながら、一方で、増税の影響で新聞代を値上げせざるを得なくなる状況に陥るのはまっぴらごめん――という支離滅裂の論調について、この時も、ネット上では、《ご都合主義》《増税煽って、自分だけはトンズラ》と怒りの声が続出。こうした意見に対し、大手紙各社は「消費増税で経営が悪化した新聞社が発行をやめる事態になれば、言論の多様性は失われていく」「行政への監視機能は弱まり、住民の政治への関心も薄まって、地域社会の活力低下が懸念される」と理解を求めていたのだが、そうであれば、今回だって、歯を食いしばってでも値上げしないという選択肢だってあるだろう。
大手紙各社が旗を振った消費増税によって経営を直撃した他の業界も、これまで社員の給与カットや業務効率の見直しなど様々な創意工夫で乗り切ってきたのだ。
《知識に課税するな、と言って軽減税率の恩恵を受け、経営環境が厳しくなったらあっという間に値上げ。どういうこと?》
《そもそも行政監視している?今や皆、横並びで政府応援の論調ばかりだけど…》
今さらだが、大手紙は消費増税やめろ! との論陣を張った方が読者が応援するかもしれない。