豪華客船で各国をめぐるクルーズ旅は、世界中で人気が高い旅のひとつだ。このたび、ずさんな対応をしたクルーズ会社が訴えられてしまったようだ。
アメリカ・フロリダ州フォートローダーデール発着のクルーズ船内で、死亡した男性客の遺体を適切に保管しなかったとして、遺族が損害賠償を求めてクルーズ会社を提訴した。海外ニュースサイト『Miami New Times』『UPI』などが4月23日までに報じた。
報道によると2022年8月、フロリダ州在住で78歳の妻とその夫(以下男性、年齢不明)は、豪華客船で行くカリブ海のクルーズ旅行に参加した。同年8月15日、心臓疾患を持つ夫が船旅中に亡くなったという。男性は心臓疾患が原因で亡くなったようだが、死亡時の状況など、詳細は報じられていない。
>>友人男性を殺害した男、遺体を崖から捨てるもバランス崩して一緒に転落 谷底で男性2人が遺体で見つかる大惨事<< 死亡時、船はプエルトリコ付近を航行中であった。男性の妻は、今後の対応について判断を求められたという。クルーズ会社の社員は、妻に2つの選択肢を提示。ひとつは、近くのプエルトリコの港に寄港し、男性の遺体を降ろして、現地で検視をした後アメリカに男性を移送するというもの。2つ目は、このまま船内の遺体安置室に男性を保管し、船旅を続けてアメリカに戻った後、葬儀会社に引き渡すというもの。妻は後者を選択したという。 男性死亡から6日後、船は無事にアメリカに帰港。葬儀会社の担当者が男性の遺体を回収するため、同船に乗船した。しかし男性の遺体は遺体安置室にはなく、飲み物を保管する冷却庫内に安置されていた。男性の遺体は袋に入れられ、床に敷いた平パレットの上に置かれていたという。遺体は腐敗が進行。腐敗ガスで遺体が膨らみ、肌は緑色に変色していたそうだ。遺体安置室が最初から故障していたのか、途中で故障したのか不明だが、男性の遺体を冷却庫に移して、保管していたのは間違いないそうだ。 遺体の損傷が激しく、男性の葬儀ではお棺を開けることができなかったという。2023年4月19日、男性の妻および家族は尊厳を踏みにじられたとして、クルーズ会社に約1億3千万円の損害賠償を求める訴訟を提起した。訴状では、男性の遺体を適切に管理しなかった同社の過失を訴えている。訴訟を受けて、各メディアがクルーズ会社に取材を申し込んだが回答は得られていない。 このニュースが世界に広がると、ネット上では「最後のお別れができず、遺族の怒りはごもっとも」「6日間、冷たい飲み物と死体が空間を共有。こちらの方が問題だと思う」「腐敗が進行していたら、臭いもすごそう」「霊安室もデジタル化しているはず。故障中なのは最初から分かっていたと思う」といった声が上がった。 遺体安置室が故障する不運が重なってしまったものの、遺体保存のために、面倒でも最寄りの港に寄港した方が金銭的にも会社の評判的にも、ダメージは少なかったかもしれない。 記事内の引用について Celebrity Cruise Ship Kept Corpse in Drink Cooler, Lawsuit Says(Miami New Times)より https://www.miaminewtimes.com/news/celebrity-cruise-ship-kept-dead-body-in-beverage-cooler-lawsuit-alleges-16809838 Widow sues Celebrity Cruises after husband's decomposing body stored in drink cooler(UPI)より https://www.upi.com/Top_News/US/2023/04/23/widow-sues-celebrity-cruises-husband-decomposing-body-drink-cooler/7931682264103/