「こめ油」最近人気上昇中!なのですが・・・

TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』毎週月曜日~金曜日 朝6時30分から放送中!
1月30日(月)放送後記
生活の必需品、食用油の値上げが相次いでいますが、実は、スーパーの食用油の棚に、ちょっと変化が起きているそうなのです。
いったい、どんな変化が起きているのでしょうか。日本こめ油工業協同組合・専務理事の鈴木清和さんに伺いました。
日本こめ油工業協同組合・専務理事 鈴木清和さん●「家庭用はですね、こめ油が2割、3割増えてるんですよ。変わりました、変わりました!今、スーパー行っても、ものすごく品揃え、こめ油出てるでしょ?棚のいいところにこめ油が出てますんで、目立つんですよ。それでたぶん、知っていただく機会が多くなったと思います。5、6年前はあんまりね、(棚の)下の方にしかなかったのがね、目線のところに置いてあるから、消費者の方も取りやすいかと思います。で、取った結果として、良いというのが分かるんで、リピーターが増えてるっていうか、支持されてるんじゃないかなと思ってます。こめ油も値上がってるんですけどね。他の油もこめ油も両方上がってるんですけどね、上がってるなら、どうせってことで良さを分かってもらってこめ油使ってるんじゃないかと。」
こめ油は、玄米を精米したときに出る米ぬかを原料とする植物油。クセが無く風味も良いということで、加工食品や揚げ菓子など業務用では、以前から広く使われてきたのですが、家庭用の市場が拡大しているんです。

胃もたれしにくくて、料理を選ばず使い勝手が良いということ、原料の米ぬかの栄養成分の健康イメージなども人気の理由となっています。
また、元々はこめ油は他の油よりも割高だったのですが、食用油の値上げが相次いだことによって、一般的なキャノーラ油などとの価格差が縮まってきていて、どうせなら健康にいいものを、と選んでくれているのでは、と鈴木さんは話していました。
そして、大手の会社がこめ油商品に力を入れ始め、商品のバリエーションも増えたことも後押しとなり、棚の良い場所に並ぶようになったということなのです。(確かに、スーパーの棚を見たら、そうでした!)
協会の調査では、2015年以前はこめ油を知っている人は2割くらい。2021年でも6割くらいだったそうなのですが、では、今はどうなのか。「こめ油、知ってますか?使ってますか?」と街で聞きました。
●「あ、知ってます。なんか他の油よりちょっと安いっていうのを聞いてはいたので、はいはい。」
●「(妻)存在は知ってますけど、使ったことないです。身体に良さそう。(夫)うん、そうね。(妻)馴染みのある食品だし。」
●「使ってはいないですね。あんまり理由は無いですけど、いつも使い慣れたものをどうしても使ってしまう、みたいな。健康に良さそうだったりそういうイメージはあるんですけどね。」
●「使ってます。ビタミンEが摂れるっていうのを聞いたから。うん、良いと思います。味も、クセも無いし、そんなに高くないし、リピートしちゃう。」

●「結構スーパーに行くけど、あんまり見たことないよね。米の油!いやあ、これからはね、国内のお米で油ができるんだったら、それいいかもしれないですね、へえ~。」
知ってるのは半々くらいかな、という感じ。正直、みんな知ってる!使ってる!というところまではいきませんでしたが、お使いの方は一定数いましたし、お米という、身近なものが材料ということで、安全、安心、そしてヘルシーなイメージをお持ちの方が多かったです。
最後の男性がおっしゃったように、原料を輸入するのではなく、国内のお米で油を作ることができるのは、今この時代にはとてもいいことですよね。
そういう意味でも、ますますこめ油は注目されそう!
なのですが、実は大問題があるのです。再び、こめ油協会の鈴木さんのお話です。
日本こめ油工業協同組合・専務理事の鈴木清和さん●「供給がキビシイです。こめ油というのは、玄米を精米するときに発生する米ぬかが原料なんですね。ご存知の通りずっと米の消費が減ってましてね、今年も30万トンくらい減ってるんですよね。減れば米ぬか発生しませんから、需要が伸びるのには追い付かないと。難しいですね。前は全然知らなかったのが、どんどん100%くらい知ってもらうと、もっともっと需要が増えると思うんですけども、それに応えられない、というのはね、ちょっとジレンマですね。今回伸びた分なんかはね、国産でカバーできなくて、伸びてる分だけ国産が減らざるを得ないというか。我々としてはできれば、全部国産で応えたいと、それがホントの望んでいるところですね。そのためには、みなさん米を食べてください、と。そしてぬかもいっぱい発生させてください!」

需要は高まっているのに、こめ油を作るための原料となる、ぬかの確保に苦労しているんです。なにしろ、ぬかの元、お米の消費が年々減っていますから、当然ぬかも減少しています。米ぬかは、肥料、飼料、キノコの栽培などでも使われるので、競合も多くありますから、全部こめ油に使う、というわけにはいきません。
不足分は、輸入に頼らざるを得ないので、今のところ、需要が増えた分、輸入分が増えて、国産こめ油が割合として減ってしまう、という状況なのです。鈴木さんは、このジレンマにホントに泣きです!と言っていましたが、こめ油は食用油の4%ほど。だからこそ、なんとか、せめてこめ油は、国産のぬかだけで需要に応えられるように、と、日本中を駆け回って集めています。ぬかは2,3日で品質が落ちるそうで、あまり遠くからは運べないので、そこもまた悩ましいのですが・・・。
せっかく、国産の原料で作ることができるこめ油。なんとか輸入に頼らずになるように、お米食べていきたいな、と思いました。