「死刑のある国で生きる」が山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞-死刑廃止は唯一の答えなのか

新潮社から発行されたジャーナリスト・宮下洋一さんのルポ『死刑のある国で生きる』が、このほど山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞した。本賞は、2012年にシリア内戦の取材中に銃撃されて亡くなったビデオジャーナリスト山本美香さんの名前を冠した賞で、山本さんの精神を受け継ぎ、果敢で誠実な国際報道につとめた個人に対して贈られる。

書籍『死刑のある国で生きる』は安楽死や生殖医療など、長年、「生と死」をテーマに取材してきた宮下洋一さんが、日米欧の「死刑」の現場を丹念に取材したルポルタージュ。

いま、死刑を行っているのは独裁国家や一部の後進国だけであり、世界は死刑廃止へ向かっている。そうした風潮のなか、先進国の中で死刑制度を維持する二つの国である日本とアメリカは、ずっと批判にさらされてきた。

なぜ今、世界中で死刑が廃止に向かいつつあるのか。そのなかで死刑を維持し続ける国には、どんな理由があるのか。一方、実際に死刑を廃止した国では、いま何が起きているのか。アメリカ、フランス、スペイン、日本を訪れ、死刑囚や未決囚、仮釈放中の殺人犯、被害者遺族、加害者家族などに丹念に取材を重ね、死刑の意味に迫っている。