【千葉魂】失敗恐れずトライを ロッテ吉井監督、ミーティングで説く

決めていたことがあった。石垣島キャンプ前日の1月31日に全選手、スタッフを集めて行われた全体ミーティング。吉井理人監督はノーベル物理学を受賞したアルベルト・アインシュタインの言葉を引用した。
「『常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションの事を言う』。だから皆さんは常識にとらわれずにやってほしい。突拍子もないことから、とんでもない事をひらめくことがある。失敗を恐れず、積極的にトライしてください」
吉井監督はアインシュタインの言葉を紹介し、選手たちに何事も結果を恐れずに挑戦する大事さ、そして常識にとらわれず、いろいろな事を自ら考え、選択し進んでいってほしい想いを説いた。
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不思議なものだ。アインシュタインの言葉に出合ったのは中学生ぐらいの年頃の時。当時は理科が好きな少年だった。
「たまたま、アインシュタインの言葉をみかけた。『こんなんあるんや!』と思ったね。好奇心を持ちなさいと訴えかけてくれているようだった。当時の吉井少年の心にはすごく引っ掛かった」と過ぎ去りし日を振り返り笑った。
月日は流れ、57歳になった。髪はすっかり白くなった。そして23年から千葉ロッテマリーンズを指揮する立場となった。選手を全員集めての最初のミーティング。考えて選んだメッセージはアインシュタインの名言。少年だった頃に一番、心に引っかかった文言を選手たちに伝えた。
このミーティングではもう一つ、アインシュタインの言葉を引用している。

「何かを学ぶのに、自分自身で経験する以上に良い方法はない。間違いを犯したことのない人とは、何も新しいことをしていない人だ」
いずれも選手たちに今、一番伝えたいメッセージが強く込められたものであった。
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チームスローガンは「今日をチャンスに変える。」に決まった。この言葉にはいろいろな意味が込められている。だから指揮官はあえて細かく込められた想いを提示しなかった。ミーティングの場で選手たちにディスカッションをしてもらった。いろいろな解釈があった。「色々な機会をチャンスにできるようにすること」、「日々、新しい日が来るので毎日をチャンスに変えてポジティブにいくこと」。様々な受け取り方があった。その一つ一つを聞きながら若い選手たちに、やさしくほほ笑みかけた。選手たちは答えを待っている。しかし、ほほ笑むだけで何も言わなかった。すべての解釈が正しい。それぞれが感じ取ったことのすべてが正解なのである。
独特のアプローチで吉井マリーンズがスタートした。選手自身に考えさせ、行動させる自主性を重んじるのがモットー。これから先、長い旅の途中でまた心に残る名言を伝える日もあるのだろう。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)