駅の個室トイレに入ったら「すぐ便器!」 使いづらさの理由に「そうだったのか!」「なんかごめん」

みなさんは駅やビル、公園などに設置されている公共トイレの個室に入った際、「なんか狭いな」と感じたことはありませんか。
中には身体を壁側に寄せないとドアが閉められないところもありますよね。
その一方で、「こんなにスペースを取らなくてもよくない?」という広さのトイレを目にすることも。
公共トイレの個室の広さはどうやって決めているのでしょうか。気になったので、調べてみることにしました。
そもそも、公共トイレの個室の広さについては、『この広さにすべき』というルールがあるのでしょうか。
家庭用トイレ以外に公共トイレ事業も手掛けている『株式会社LIXIL』(以下、LIXIL)に聞いたところ、このような回答がありました。
公共トイレの個室に関しては、国土交通省が発行している『建築設計標準』でスペースの広さについて示されています。
国土交通省によると、『建築設計標準』とは、バリアフリー法という、高齢者や障害を持つ人の移動の円滑化をうながすための法律に基づいて設定されたガイドライン。
このガイドラインに沿って作ることで、誰もが使いやすい空間を実現できるのだといいます。
例えば、トイレの個室について、車いすの人でも使いやすい広さにするには、どのくらいのスペースを取ればいいのかなどが記載されています。
ほかにも、おむつの交換台や、赤ちゃんを座らせるイスを設置する場合の理想的な空間サイズなどが示されているのです。
よく目にする便器のみという一般的な個室についても、『建築設計標準』の中の『その他一般弁便房の設計標準』に記載があります。
出入り口を無理なく通れることを意味する有効幅員(ゆうこうふくいん)は、便器からドアまで65cm以上とすることが望ましいそう。
また、内開き戸の場合は、戸の開閉動作に支障がないよう、便器前のスペースにゆとりある広さを確保するように記載されているのです。
ガイドラインで個室の広さについて示されているものの、そもそも法律ではないため、必ずこの通りに設計しないといけないわけではありません。
LIXILでも、「現場の状況に応じて決めている」といいます。
車いすでも使える多機能トイレなどは、ガイドラインに沿って設計されています。
しかし、よく見かける便器のみの個室トイレに関しては、ブース内に一定のスペースを確保することを前提に、現場の状況や要望を踏まえてブース内の広さを決めているのが現状です。
※写真はイメージ
多機能トイレを除いて、個室の広さは具体的にこのように決めているそうです。
例えば、内開きの戸を閉める時に、ブース内で避けられる空間を確保できるようにしています。とはいえ、やはり「現場の状況次第」というのが現実。
限られたスペースにできるだけ多くの個室を設置しようとした結果、一つひとつの個室が狭くなってしまう場合もあります。
ほかにも「扉を閉める時、便器にさえ当たらなければいい」という考えでトイレの広さを設計するケースもあるようで、その場合はドアの開け閉めの際に「すごく狭い…」と感じる可能性が高くなるでしょう。
次に、設置する個室の数はどのようにして決めているのか聞いてみたところ、「『空気調和・衛生工学会』の研究を基に設置している」とのこと。
『空気調和・衛生工学会』では、オフィスフロアや百貨店、量販店などにトイレを設置する場合、利用する想定人数や、「何個あれば、待ち時間なく快適にトイレを使えるか」といった求めるサービスレベルによって、器具の設置数を導き出しています。
駅や高速道路のサービスエリアのトイレについては、利用者数の算定が特殊なため、鉄道会社や高速道路会社が器具数を独自に研究して、設置数を決めているとのこと。
スポーツスタジアムに関しても、各スポーツ団体がガイドラインを出しているケースがあるそうです。
最後に、個室の形についてLIXILに聞いてみると…。
利用する上では長方形が望ましいものの、現場によっては長方形にできないこともあり、特にガイドラインで触れられていません。
つまり、現場の状況や施工主の要望に応じて、例えば極端に広くしたり、ひし形にしたりすることも可能というわけです。
公共トイレの個室の広さについて調べた結果、国が定めたガイドラインやメーカーからの提案を参考に、現場の状況に合わせて広さを決めているということが分かりました。
設計者が苦労して使いやすい広さを確保し、安全に利用できる空間を作っているということですね。
[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]