「ロシアやベラルーシと同じマットに上がるのは…」日本で合宿中のウクライナの女子レスリング代表チームが語った複雑な思い 【大石邦彦取材】

ウクライナの女子レスリング代表チームが、愛知県大府市の至学館大学で合宿を行っています。約1年4か月と長引く「戦争」についての思いを聞きました。
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名古屋名物の「ういろう」を差し入れした大石アンカーマン。皆さん「おいしい」と言ってくれ一安心。ウクライナ代表の女子レスリングチームの選手12人です。6月20日から愛知県大府市の至学館大学の招きで、合同合宿を行っています。
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1年4か月に渡って戦時下にあるウクライナ…。代表チームは2022年3月から練習場所を求めてヨーロッパやアメリカを回り、日本が9か国目です。(至学館大学レスリング部栄和人監督)「きょう初めてウクライナチーム主導で練習をさせてもらいましたが、いいですね。負けてられないですよね、すごく良い刺激です」ウクライナ代表チームは2022年12月のワールドカップで優勝。この時、日本は予選リーグでの直接対決で敗れています。
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(報告:大石邦彦アンカーマン)「こちらが講義室です。声が聞こえてまいりました。いらっしゃいますね、今、ウクライナの選手の皆さんが、至学館大学の学生を前に戦時中がどんな状況なのかを語っています」選手たちは26日、1年生の授業で戦争と平和について語ってほしいと頼まれました。(東京五輪で銅メダル イリーナ・コリアデンコ選手)「私の住む街はロシアに占領される可能生がある状況だったので、2週間もの間、地下室に閉じこもり、身動きが取れませんでした」2022年10月、家の周りをランニングしていた時の動画を見せてくれたイリーナ選手。ワールドカップ前…、ウクライナではサイレンが鳴り響く状況でした。授業を受けていた至学館大学のバスケットボール部の学生は。(バスケットボール部員の学生)「ただでさえ恐怖に襲われながら生活しているにもかかわらず、アスリートとしての気持ちを忘れず、やり続けることがすごい」「(Q:自分が同じ状況だったら練習とかできますか?)やれない」「できない」「到底できないと思う」
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家族と離れ、各国を転々とする選手たちの胸中を伺うと…。(ユリア・トカチ選手)「私の9歳の息子が『僕は銃を持てないの?』と聞いてきた。小さな子どもが国民としての責務を果たそうとしていて、私も向き合おうと感じた」(イリーナ・コリアデンコ選手)「今は日本で充実した日々を過ごしているが、現地の被害状況は毎日必ずチェックする。戦争のことを片時も忘れたことはありません」今、代表チームは悩ましい問題に直面しています。2024年のパリ・オリンピック出場のためには、ことし9月の世界選手権などで成績を残すことが重要です。ところが…。
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(レスリング女子代表 ヴォロデミル・イエヴォノフ監督)「(Q:ロシアとベラルーシが世界選手権に出てきたら?)秋の世界選手権はオリンピックに向けて非常に重要な大会ではあります。ただ、ロシアやベラルーシと同じマットに上がり、同じ空間にいるのはとても難しいこと」(ユリア・トカチ選手)「マットの上ではレスラーたちは必ず握手をしなければなりません。握手をすることはできません」選手たちの心にも影を落とす戦争。このまま続けばパリも遠のくことに。選手としてのピークも気がかりです。(オクサナ・リヴァチ選手)「(Q:あなたたちが表彰台にのぼる意味は?)私たちが表彰台に立ち続けることで、祖国に勇気を与え苦難に屈しないことを示すことができると思います」至学館大学での合同合宿は7月1日まで。その後はハンガリーに拠点を移します。