沖縄県伊是名村にあるJAおきなわの伊是名製糖工場から出たサトウキビの糖蜜が海上に流出した問題で、工場敷地内の用地の穴に廃棄した糖蜜が許容量を超えたため、沿岸に流れ出たことが5日までに分かった。被害はアーサ養殖場を所有する2農家で、養殖網約300枚に出た。JAおきなわの前田典男理事長らは4、5日、現場を訪ねて被害状況を確認し、漁業関係者らに謝罪した。
3日に流れ出た糖蜜は海上に停滞しており、5日現在、流出範囲は広がっていない。流出量や被害額は調査中。
関連記事「海が真っ黒になっている」魚の死骸も 流出した液体、その正体は…沖縄・伊是名島 | 沖・・・ 沖縄県伊是名村で3日午前、JAおきなわの伊是名製糖工場から出たサトウキビの糖蜜が大量に海上流出していることが確認・・・www.okinawatimes.co.jpJAおきなわによると1~2日、糖蜜の貯蔵用タンクに水分が混ざったため、約300トンを用地に埋めて処分した。
用地は水分が規定量に達すると、あふれ出た分を側溝などに放出する「オーバーフロー」の仕組みになっている。JAおきなわ伊是名支店の支店長と製糖工場の工場長はこの仕組みを把握しておらず、糖蜜が側溝から流れ出て河口を通り、沿岸に流出していることにも気付かなかった。
廃棄予定の糖蜜は残り300トンある。肥料としても使えるため、畑を所有する生産者らに配布するなどの対策を検討している。
関連記事「がくぜんとした」伊是名の海に糖蜜流出 アーサ養殖網の被害深刻 JAへ補償要求 | 沖・・・ 沖縄県伊是名村のJAおきなわ伊是名製糖工場から沿岸の海域に大量の糖蜜が流出した問題で、アーサの収穫時期を迎えてい・・・www.okinawatimes.co.jp 製糖工場の職員は5日、アーサ養殖網の回収作業を行った。
3日からアーサを収穫する予定だった漁業者からは、昨年販売実績の1キロ当たり6万円と今季の収穫見込み量をかけ合わせた金額の補償や養殖網の回収作業と新しい網の購入、来季植え付けをする苗を補填(ほてん)するよう要望が出た。村漁業協同組合からは風評被害発生時の補償の話もあった。
JAおきなわの前田理事長は「責任は私たちにある。補償額や流出量の確認を急ぎながら、さらなる被害が広がらないよう努力する」と話した。(政経部・國吉匠)