転職して”年収が上がりやすい職種”、1位は? – 今後必要になりそうな能力も紹介

転職したいと思っても、今より条件がよく、働きやすい職場を見つけられるか不安で、実行に移せない人は少なくないはずです。では、実際に転職して年収が上がった人はどのくらいいるのでしょうか。

マイナビによる「転職動向調査 2023年版(2022年実績)」から、年収が上がった割合や年収が上がりやすい職種など、転職の実態を最新データからご紹介します。
■転職率は2016年以降過去最高

2022年の20代から50代の正社員の転職率は7.6%となり、2016年の調査から過去最高の数値に。特に男性の転職率が上昇傾向にあります。

■転職を始めた理由のトップは「給与が低い」

転職を始めた理由をみてみると、2022年では上位から「給与が低かった(12.5%)」、「職場の人間関係が悪かった(9.3%)」、「仕事内容に不満があった(6.6%)」、「会社の将来性、安定性に不安があった(6.5%)」、「休日や残業時間などの待遇に不満があった(5.5%)」、「会社倒産やリストラ・ハラスメント等の非自発的理由があった(4.5%)」、「新しいことに取り組みたかった(4.1%)」となっています。

この結果からわかるように、給料の低さが原因で転職する人が多かったようです。

■約4割が転職後に年収アップ

では、実際に転職をして給与(年収)が上がった人はどのくらいいるのかみてみましょう。

2019年から2022年まで、年収が上がった人の割合は増え続けています。2022年では、転職後に年収が上がった人の割合は39.5%、下がった人の割合は18.6%となっており、約4割の人は年収が上がっている結果に。転職理由から考えても、転職先の給与が高いことは重視されるでしょう。

性別・年代別にみてみると、男性の20代が44.9%、男性の30代が47.7%と、年収が上がった割合が顕著に高いことがわかります。
■年収が上がった割合が高い職種は?

次に、職種別の割合をみてみると、「クリエイター・エンジニア」が52.0%と、年収が上がった人の職種の中で最も割合が高くなっています。順番に並べてみると、次のようになります。

1位「クリエイター・エンジニア」、2位「技能工・建築・土木」、3位「コンサルタント・専門職」、4位「営業」、5位「企画・経営・管理・事務」、6位「サービス職」という結果に。

■転職前に働いていた期間の平均は4年半

入社してそれほど経たずに転職をする人もいれば、10年以上勤めあげた後に転職する人もいるでしょう。前職の勤務先での就業期間をみると、平均は54.4ヵ月(約4年6ヵ月)となっています。一方、20代に注目してみると、男女ともに平均で3年以内に転職をしています。

次に職種別でみてみると、前職の就業期間が短いのが「サービス職」、長いのが「クリエイター・エンジニア」となっています。全体を平均すると4年から5年で転職するケースが多いようです。

■今後リスキリングが必要になりそうな職種

経済産業省は、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」により、個人のキャリアアップやそれを通じた転職を支援しています。同省の資料によると、”リスキリング”とは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています。

そこでこの調査では、転職者に”今後リスキリングが必要になりそうな職種”を聞いています。上位から「管理・事務」(25.1%)、「医療・福祉」(21.0%)、「営業」(18.7%)、「企画・経営」(15.8%)、「ITエンジニア」(15.7%)、「Web・インターネット・ゲーム」(11.0%)、「電気・電子・機械・半導体」(9.6%)、「コンサルタント・金融・不動産専門職」(9.4%)、「販売・フード・アミューズメント」(9.3%)、「クリエイティブ」(9.2%)、「保育・教育・通訳」(8.1%)という結果に。

■職種別今後必要になりそうな能力

次に、経験した職種または希望している職種について、今後必要になりそうな能力を聞いています。職種によって、必要とされる能力は異なりますが、多くの職種で「ビジネス課題を設定・解決する能力」を求められていることがわかります。

また、今後リスキリングが必要な職種の1位だった「管理・事務」では、「情報セキュリティ能力」が必要と答えた人が最も多く、次に「ビジネス課題を設定・解決する能力」、「ビッグデータの分析・処理能力」と続いています。

各々の職種においてこの調査結果は、今後転職やリスキリングをする際の参考となるでしょう。

調査概要
【調査期間】スクリーニング調査:2022年12月14日~12月16日/本調査:2022年12月16日~12月20日
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】正社員として働いている20代~50代の男女のうち、2022年に転職経験者
【有効回答数】1,500名

石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら