モロッコ地震の被害者男性が娘へ送った最後のメッセージ 「奇妙な日だ」の意味は…

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チャリティイベントに参加した元教師の男性が、モロッコ地震の被害者になってしまった。最後に娘に送られたメッセージが不可解なものだったと、『Mirror』がレポートしている。
9月8日の夜遅く、モロッコをマグニチュード6.8の地震が襲った。約3,000人以上が命を落とし5,000人以上が負傷、周辺の家屋5万棟以上が倒壊したという。
この地域に特有のレンガ造りの家屋は地震には脆弱なため、ほとんどの建物が崩壊した。このモロッコ地震の犠牲者の一人であるデイビットさん(71)は、元教師。
サイクリングが趣味で、この日もアガディールという街からスペインまでを自転車で走行する1,600マイルのチャリティ・バイシクル・ライドに参加していた。地震が発生した時には、テイジンテスト山にいたという。
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デイビットさんと娘は、常に連絡を取り合う仲の良い親子だった。この日も「今、テイジンテストという山の頂上にいる。奇妙な日だ」というメッセージを娘に送った40分後、大地震がモロッコを襲った。
しかし宿泊先と聞いていたホテル・ラ・ベルヴューに娘が連絡すると、デイビットさんはそこには泊まっていなかった。娘はデイビットさんの生死もわからないまま、周辺のホテルに片っ端から電話をかけたという。
結局、デイビットさんは地震が起こったとき、サイクリングの疲れを癒やすため、8キロ山手にあるカフェ・サンセットという所に泊まっていたことがわかった。
デイビットさんが本来宿泊するはずだったホテルの経営者であるハムザさんは、知らせを受けて足場の悪い山を登りデイビットさんの捜索にあたった。その後、デイビットさんは倒壊したがれきの山から遺体となって発見された。
ハムザさんは経営するホテルが倒壊しただけでなく家屋も失い、自身も被災者であるにも関わらず、デイビットさんの捜索に尽力した。娘は「ハムザさんがいなければ、父は発見されなかった」と、感謝の意を表している。
デイビットさんは、最近1万2,000マイル(約1万9,000キロ)を自転車で横断し、4,000ポンド(約72万円)を赤十字に寄付している。「献身的な募金家だった彼の家族に哀悼の意を表します」と赤十字はコメントした。
10年教職をともにした娘は、「彼は子供たちのサイクリング企画に積極的に取り組み、熱意のある教師だった」と話す。娘が勤務する学校では、教員たちが500ポンド(約9万円)を集め、地震の救済支援として寄付した。
娘はさらに「思慮深く、創造的な才能と包括的な態度を持った人物として記憶されるでしょう」といい、デイビットさんの死を惜しんでいる。