八重洲ブックセンター、44年の歴史に幕 作家・北方謙三さん「初めて自分の本を買った場所」

大型書店のさきがけとなった東京・八重洲の八重洲ブックセンター本店が31日、街の再開発計画に伴い44年の歴史にいったん幕を下ろした。周辺一帯の再開発に伴うもので、2028年度に完成予定の複合高層ビルへ出店する予定となっている。
営業終了後に行われたセレモニーでは作家の北方謙三さんがゲストで登場。「初めて自分の本を買った場所。思い入れのある八重洲ブックセンターがしばらく休んでしまうのは悲しいです。でも今後どんな新しい店舗ができるのか楽しみです」と語った。作家の東野圭吾さんもコメントを寄せ「未知の世界につながる異空間であり、アイデアの発掘現場でもありました」とつづった。
八重洲ブックセンターの山﨑厚男代表取締役社長は「本当に多くの皆様に支えられた44年間でした」と感謝の言葉を述べた。最後は拍手が鳴り止まない中、入口のドアが閉められた。
この日最終営業となった店内には第168回直木賞を受賞した千早茜さんや元東京都知事で作家の猪瀬直樹参院議員らから寄せられたメッセージが掲示され、一般客のメッセージも壁一面に埋め尽くされた。
この日、同店を訪れた中央区の大学生・松田昂樹さんは「東京に来て初めて行った本屋さん。大学の帰りとかに立ち寄った大好きな場所でした」。入間群の大学教員の女性は「小さい頃、家族で来るような場所でした。今はネット通販で本を買うようになりましたけど最後だし来てみようと思ってきました」と話した。
同店は、1978年9月に100万冊の在庫を誇る日本初の大型書店として東京駅前にオープン。地上8階、地下1階建てのビルは「日本一のマンモス書店」ともいわれた。