死亡した4歳の娘を救うことはできなかったのか… 増え続ける児童相談所の対応件数 三重・津市で4歳女児死亡 42歳の母親を傷害致死容疑で逮捕

三重県津市で4歳の女の子が死亡し、42歳の母親が逮捕された事件。この家庭は虐待の可能性があるとして、以前から行政が関わってました。たびたびニュースになる「虐待」という事案ですが、現状はどうなっているのでしょうか。
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1999年からの児童虐待の相談対応件数を見てみると、1999年1万1631件でした。ここからどんどん増え続け、2021年は20万7659件。過去最多を更新し続けています。子供の数自体は減り続けている中でも、こうした相談件数は増えているんです。
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では今回の津市の事件がどう起こったのか。経緯をあらためてまとめます。
2019年の2月、母親がほのかちゃんの養育ができないということで児童相談所に相談をしました。その際にほのかちゃんを一時保護し、6月に乳児院へ入所することになりました。その後、2021年の3月にほのかちゃんは家に戻ります。その際は2歳でした。そして2022年の2月。両ほほ両耳にあざがあると保育園から虐待の情報が入りました。児童相談所は自宅を訪問し、そこで母親とほのかちゃんと面談をしましたが、母親はベッドから落ちて、おもちゃ箱に頭から突っ込んだと説明しました。児童相談所は一時保護も考えたんですが、虐待と断定できないとして、一時保護はせず、3ヶ月に1回聞き取りを行うことになりました。ただこの面談以降、一度もほのかちゃんと直接面会することはなかったということです。
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2022年12月。保育園にほのかちゃんは登園しているのかということを確認したところ、7月初めから登園していないことがわかりました。そこで、児童相談所から自宅に電話をかけるも応答なし。ただ、この時点でも問題なしと判断しました。
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そして今年に入ります。2月に保育園に確認したところ、ほのかちゃんが保育園に行きたくないと言っている。一方で長女は「問題ない」と話していて、児童相談所はこちらも問題なしと判断したということです。そして5月26日、ほのかちゃんの死亡が確認されました。その際の体重は平均体重より4キロ少ない12キロだったということです。定期的な見守りはありました。ただ、間接的なものだったということが本当に悔やまれます。
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(大石アンカーマン)今回の件について、対応にあたった児童相談所に取材したんですけども、判断が難しかっただろうと思う反面、命を救える場面もいくつかあったんではないかというふうに思います。ポイントは2つあります。まず1つは去年の2月の段階です。虐待の通報を受けて母親と直接面会した際に、一時保護も考えたんだけども結局せずに、3ヶ月に一度の見守りの判断をしたわけです。ただ、その後一度も母親と直接会うことはなかったんです。これまでの経緯から考えても、保護すべきだったという判断はあったかもしれません。一方で母親は、虐待の疑いをかけられてショックだったということです。
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もう1つのポイントは去年の12月。児童相談所が、ほのかちゃんが保育園一度も来ていないことを知ったときなんです。母親に連絡しましたが電話が繋がらなかった。繋がらないまま、連絡しないままになってたんです。結果、保育園や長女には連絡します。その際も、直接ほのかちゃん本人の安否確認をしていませんでした。問題なしと判断していたんです。最悪の結末をその後迎えてしまうわけなんですけども、ほのかちゃんは体重も平均体重から4キロ減っていたわけで、もし会っていたならば、異変に気づいていたかもしれないと思うと悔やまれます。今回3ヶ月に1回程度の見守りということなんですが、これは国にこんな方針があるんです。各市町村に、虐待を全て把握して台帳で管理しなさいとしていて、そのために3ヶ月に1回程度の状況確認が適当であるとしています。
三重県はこれを踏まえてこのようなリスク対応をしています。例えば、高いリスクがある、虐待の高リスク家庭の場合は1週間に1回の状況確認。中リスクは1ヶ月に1回。低リスクは3ヶ月に1回の状況確認をしようということを決めていました。
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つまり、三重県は今回はこの案件3ヶ月に1回程度低リスクの家庭と判断していたということになるんです。それは適切だったのかと中勢児童相談所の方に聞きました。児童相談所の1人はこのように言ってます。
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あの時点で、高リスク家庭とは思わなかったと。あの時点でというのは、一番最初に母親と会った時点で、そしてその後でもということになると思います。結果からすれば、見守り方の変更をすべきだったと思うというふうに語っているんです。
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今回三重県津市で起きた事件なんですけれども、全国どこで起きてもおかしくないかもしれません。児童相談所は、今ある案件を今一度再チェックしてほしいと思います。